活動レポート 大阪例会2023年9月5日

第65回例会 大阪

前明石市長 泉 房穂 氏

写真:前明石市長 泉 房穂 氏

第一部では、2025年日本国際博覧会協会の局長、堺井啓公(さかいよしまさ)氏にお越しいただきました。「大阪・関西万博」の現状について、開催までの取り組みや意義、最新情報などをたっぷりとお聞きすることができました。

第二部では、テレビやメディア、至る所で引っ張りだこの前明石市長・泉房穂(いずみふさほ)氏にお越しいただきました。
「優しい町をつくりたい」という思いを元に様々な政策を実現、実際に明石市を「優しい町」に変貌させてしまった泉氏に、社会を変えるために必要なリーダー論について熱く語って頂きました。

スペシャル講演①

大阪・関西万博がめざすもの

2025年日本国際博覧会協会 担当局長 堺井 啓公 氏

2025年日本国際博覧会協会 担当局長 堺井 啓公 氏

2023年9月大阪例会

2023年9月大阪例会

2025年4月13日より10月13日までの184日間、大阪夢洲にて開催を予定しております大阪・関西万博についてご紹介いたします。
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、海外から153カ国、8国際機関による万博のテーマ「いのちの輝き」やSDGsの目標達成に向けた創意工夫を凝らしたパビリオン展示や多種多様な催事が行われます。
開催期間を通して2820万人のご来場を予定しています。

昨今マスコミ等で指摘されている海外パビリオン建設の問題は、いわばマッチングの問題でもありますが、これまでも上海、ミラノ、ドバイと世界中で万博が開催され、その蓄積されたノウハウをどの国も持っています。懸念材料としては、資材の高騰、人材確保といった点はありますが、現在、民間ゼネコンは活況を呈しており、参加予定国と日本のゼネコンとのマッチングの問題をクリアすべく、着々と進んでいるところです。
また、あくまでも個人的な見解ですが、会場整備全体から見ますと、タイプAの海外パビリオンの建設は全体の4分の1であり、残りの4分の3は順調ですので、その点、ご安心いただければと思います。

また、その他にも日本政府館、大阪ヘルスケアパビリオン、関西広域連合パビリオン、13の民間パビリオン、女性活躍推進館(仮称)や、8名のプロデューサー(敬称略:福岡伸一、河森正治、河瀨直美、小山薫堂、石黒浩、中島さち子、落合陽一、宮田裕章)それぞれが「いのち」をテーマにしたパビリオンも建設されます。
昔と違い、地球的課題、人類社会の持続的な発展がテーマとなる21世紀以降の万博において、大阪・関西万博は「いのちの輝き」を掲げ、多くの企業がそのテーマに沿った課題解決型商品やサービスを披露し、アピールしていただく場としてご活用いただきたいとも考えております。

「いのちの輝き」をテーマにした大阪・関西万博では、私たちが現在抱える課題解決と未来を見据えた技術やサービスを実証すべく、この万博に実装していく未来社会ショーケース事業では、スマートモビリティ万博、デジタル万博、バーチャル万博、アート万博、グリーン万博、フューチャー万博という6つのカテゴリーにおいて多くの企業に協賛いただき事業を進めてまいります。
2023年11月30日には大阪・関西万博の入場前売り券を販売する予定ですが、10月からは万博の魅力をお伝えすべく、大々的に広報活動を展開してまいります。現在も、まだまだ多くの企業のご参加を募集しておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 

2025年日本国際博覧会協会 担当局長 堺井 啓公氏

◆堺井 啓公 氏 プロフィール

1966年大阪府生まれ。

京都大学法学部卒業後、1990年4月に通商産業省(現経済産業省)入省。

2013年7月に経済産業省商務流通保安グループ博覧会推進室長兼博覧会国際事務局日本政府代表兼ミラノ博日本政府副代表として、食文化をはじめとした日本のすばらしさをPRすべく、事前の企画立案から本番までの諸調整などをリードした。その後内閣府地方創生推進事務局総括参事官、(独)中小企業基盤整備機構理事などを経て、2020年7月に公益社団法人2025年日本国際博覧会協会に出向。広報戦略局長、企画局長、機運醸成局長を歴任し、2023年4月より現職。

スペシャル講演②

明石から日本へ[やさしい社会]を広げる~社会を変えるために必要なリーダー論~

前明石市長 泉 房穂 氏

前明石市長 泉 房穂 氏

2023年9月大阪例会

2023年9月大阪例会

「社会が冷たい」一生懸命働く父、おかずのない食卓、障害を持つ弟。幼心に何かがおかしいと憤りを感じ、私は10歳にして、この町を変えたい、やさしい町に変えたい、市民が誇りを持てる町にしたい、と心に誓い、市長になろうと決意を固めました。それから50年間かけて10歳の時の誓いを果たすべく、今日までやってきました。ただし、市長になることが目的ではなく、市長となり明石の町を作り変えることが目的です。市長に就任することがゴールではありません。明確な方針転換を短期間で行い、変革をもたらし、トップダウンで政策を実行すべく3期12年明石市長を務めてまいりました。

私が市長になる前の明石市は人口減少、赤字財政、駅前衰退、そして市民に活力がない町でした。私は明確なビジョンを掲げ、その方針をブレずにやり切る決定権と政策実現のための予算配分権、さらにはその予算を施行するための人事配分権を行使しました。その上で一番重要なことはこれらの政策を実行するには市民の理解が必要であり、市民の圧倒的な支持を得ること。市民の支持なくして変革はできません。私が掲げた明石発・全国初の5つの子ども支援策や明石独自のコロナ対策もすべては市民に寄り添う政策です。財源論先にありきではありません。市民が住みやすい町、安心できる町を作ること。おかげで子育て層を中心に10年連続人口増、中核市における人口増加率は全国第一位となりました。出生率も1.50%から1.70%まで上がり、明石駅前は賑わい、地域経済は活性化し、その結果、税収増となり、これまで170億あった赤字財政が黒字に転換し、今では健全財政を維持しています。当然、職員の数も子ども政策に応じ適時適材適所の組織編成によって3倍に増えました。

また、上から目線のお上意識から市民目線の自治意識へ、全国一律の横並び主義からそれぞれの地域の特性を生かした地方ごとの判断へ、これまで通りの前例主義から時代に即した臨機応変型の新しい政治へと、この3つの発想の転換、意識改革によって市民のほうを向いた市民のための職務を遂行できるようになり、その結果として市民と市職員との間に信頼関係が醸成され、「冷たい社会」から「やさしい社会」の明石市へと変容を遂げたのです。

「やさしい社会」とはお互いに助け合い、支え合う当たり前の社会です。これからは、明石市でできたことを他の町でもできるように証明していく横展開、そしてこの国の政治を根本から変えていく縦展開、そして今の10歳の子どもたちに50年後の私たちの社会を託せるように伝えていく未来展開、この3つを展開していくつもりです。

Q&A

Q:明石市には特攻隊も含め戦死者が祀られていると聞いたことがある。本日の講演で泉氏が市長として命がけで取り組んできた姿勢が伝わった。

A:明石市は2千人を超える戦死者を出している。私の地元では江戸時代、貧しい村を救うため、自らの命を差し出し、村を救ってほしいと老中に直訴した3人の若者の碑が立っている(二見三義人)。私の中にも脈々とその血が通っていると感じている。

Q:市長退任時には政治家としてはこれで終わりと言われたが、今後、出馬する予定はないか?最近話題になった暴言問題については?

A:そもそも市長になることは手段であって目的ではない。目的は明石市をやさしい町にすること。市長と市議会が対立するのは当然のこと。市長が市議会になびくことなく、市民のほうを向いていることが大事。暴言問題については、マスコミはほとんど正しく伝えていないが、反論する気もない。

Q:市長は経営者たれというお考えに共感する。泉氏の取り組みや考えを全国の経営者も参考にすべき。

A:明石市で実施した子ども5つの無料化の財源について、実は明石市の財源総額2千億円のうち、わずか34億円(1.7%)充当したにすぎない。家計に例えるなら、年収600万のうち、子に対して月8500円かかることになるが、親ならやりくりするはず。明石市はそれをやっただけで、他自治体でもできないことはない。

Q:昨今、正しいことを行うより嫌われることを恐れる傾向にあるが、目立つことを恐れないモチベーションの源は?睡眠時間3時間とお聞きしたが?

A:私の性格は、弟の生まれ持った障害と母に言われた言葉が根源にあるように思う。文武両道だった私に対し、母は「1番にならなくても、100点取らなくてもいい。普通でいいから、その分、弟が歩けるように、字を書けるようにしてほしい。一人分返してほしい」と言われた。母の心の叫びは、いまだ胸に刺さり続けており、一生かけても返したいという思いが明石市の政策実現に反映されているのかもしれない。睡眠時間に関しては、死んだらいくらでも寝られる。今日一日を一生懸命生きていくんだと毎朝前向きに捉えている。

Q:今現在、ご自身が取り組みたいことは?

A:現在、試行錯誤中で未定。今は地方選のお手伝いをしているが、明石市だけでなく、岩手や東京立川の市長選をお手伝いし、どちらも当選した。大政党に依拠しなければ選挙に勝てないと言われるが、市民のほうを向いて戦えば勝てる。官僚に依存しない国民のほうを向いた政治の実現によって日本の経済や社会を立て直したい。そのためのシナリオを描いている。

Q:消費増税+所得税ゼロという政策提言に対して、どう思うか?

A:政治に正解はなく、時代に応じた選択だと思う。税金はまさにその最たるもの。国民の負担率は5割弱と言われており、増税すればますます消費が冷え込む。30年間続く日本経済の低迷からのカンフル剤的な政策が必要。

 

前明石市長 泉 房穂 氏

◆泉 房穂 氏 プロフィール

1963年、兵庫県明石市二見町生まれ。

県立明石西高校、東京大学教育学部卒業。

NHK、テレビ朝日でディレクターを務めた後、石井絋基氏の秘書を経て、1997年に弁護士資格を取得。2003年に民主党から出馬し衆議院議員に。2011年5月から2023年4月まで明石市長。「5つの無料化」に代表される子ども施策のほか、高齢者・障害者福祉などにも注力し、市の人口、出生数、税収をそれぞれ伸ばして「明石モデル」と注目された。

開催情報

開催日時:9月5日(火)15:00~17:30
15:00      開会
15:05~15:50  スペシャル講演①(2025年日本国際博覧会協会 担当局長 堺井 啓公 氏)
15:50~16:00  コーヒーブレイク
16:00~17:30  スペシャル講演②(前明石市長 泉 房穂 氏)
17:30      閉会

場所:リッツカールトン大阪 2F ザ・ガーデンルーム

〒530-0001 大阪市 北区梅田2丁目5番25号
TEL:06-6343-7000(代表)

地図URL:https://www.ritzcarlton.com/jp/hotels/japan/osaka/hotel-overview/directions

 


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