リーダーズ倶楽部 リーダーズインタビュー 株式会社AGホールディングズ 柴山哲治氏

番組放送後に誘いをいただき、参加を決めました。他の経済界の団体は、どうしてもお金にまつわる経済の話題が中心になりがちですが、文化や芸術を含めた交流に期待をしています。

これまでに一度、パーティーに参加し、有意義な印象を受けました。忙しい経営者の方々は、芸術や文化に大きな興味をお持ちでも、なかなかアートとふれあう機会がないとも聞きます。今後の活動の中では、例えば美術館を借り切って例会やイベントを開催するなど、新たな展開も考えてはいかがでしょうか。

当社はCSRや文化芸術支援に関心をお持ちの企業や自治体に対し、各々の理念に合わせた芸術文化支援活動の企画をご提案し、活動の推進や運営のサポートを行っています。企業が主体となって若い芸術家を支援する事業のマネジメントや自治体の芸術支援プロジェクトサポートなど様々な形態で携わらせて頂いています。企業が経済的価値を創造するように、アーティスト達の活動も経済的価値を生み出せるようになるためにはその初期にある程度の経済的支援がなければなりません。海外には参考になるモデルが多数あります。企業はみずからの利益をアートの振興や支援のために直接的に活用することができる立場にあります。仕事の現場にアートを取り込むことは大きな意味のあるということを地道に、時にはしつこくお伝えし続けることで、成果が上がっていくものだと考えています。私が教えている大学での調査結果によると、『芸術支援や芸術を経営に取り込むことに熱心な企業ほど時価総額が高い』という経営数値的な実例も出ております。
日本人は世界で一番美術館に行く機会が多いとも言われています。しかし、絵画を購入するという習慣はまだ根付いていません。アートには高額なものばかりでなく、お手頃な価格の作品も多数あります。こうした習慣づけも地道に啓蒙しています。

吉田松陰が伝えた孟子の言葉として「至誠にして動かざる者は未だこれ有らざるなり」という名言があります。いくら言葉で良いことばかりを言っていても、行動を起こして実現しなければ意味がありません。私は、アートで経済的な付加価値をつけて、国を豊かにすることを使命だと考えています。アートは心を豊かにするだけでなく、ビジネスとして捉えると経済的にも豊かにしてくれます。また、教養としてのアートは、衣・食・住にも次ぐ存在であり、これを「衣・食・住・アート」と呼んでいます。日本人の素養としてアートを愛でる活動が当たり前となることを社会の中で実践していきたいと考えています。