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活動報告

活動レポート 霞が関シリーズ第2弾
2021年06月25日
霞が関シリーズ第2弾

写真:経済産業省 環境政策課長 中原 廣道 氏

世界で120を超える国と地域がカーボンニュートラルを宣言するなど、気候変動への対応は国際的に加速してきており、国際的にも成長の機会と捉える時代に突入しました。こうした中、日本は昨年10月、2050年カーボンニュートラルを宣言し、昨年12月には、経済産業省が関係省庁と連携してグリーン成長戦略を取りまとめました。このグリーン成長戦略では、成長が期待される14分野の実行計画において、国として高い目標を掲げるとともに2050年までの具体的な工程表を策定するなど、産業・エネルギー部門の構造転換とイノベーションの実現に向けて、議論を進めています。

カーボンニュートラルを巡る国内外の政策動向や、成長戦略としての環境政策についてお話しいただきました。

講演内容

スペシャル講演

「カーボンニュートラルを巡る政策動向」
経済産業省 環境政策課長 中原 廣道 氏

現在、気候変動に関する2050年カーボンニュートラルという挑戦的な目標達成に向けて、世界各国は長期戦略を立て積極的に取り組んでいます。特にEUでは、2019年12月に「欧州グリーンディール」を発表。2020年3月には「2050年カーボンニュートラル」目標を含む長期戦略を国連に提出しました。同年12月には2030年に55%の排出削減目標を提示。欧州委員会においてポストコロナ復興計画予算を計上し、グリーン分野に多額の予算を充当するとしました。

また、英国においても2030年までに68%削減するとし、2020年11月にはガソリン車やディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止すると発表しました。この電気自動車の普及促進は「グリーン産業革命に向けた10項目」という政策文書の一項目にあり、その他、洋上風力や水素、原子力、公共交通、空港・海上交通、建築物、CCUS(CO2を回収し、地中に貯留したり、利用したりする技術)等10項目に渡って投資や雇用創出計画が策定されています。米国においても、政権交代とともに気候変動問題に積極的にコミットしていくとし、インフラ整備やクリーンエネルギー分野への大規模な投資を行なう往診が示されています。

先頃行われた気候サミットにおいても、主要排出国首脳等が参加し、2030年目標の更なる引き上げや2050年までの排出ゼロの必要性について話し合われました。我が国においても、2030年までに2013年度から46%削減を目指しつつ、更に50%の高みに向け挑戦を続けることが、管総理から表明されました。

このように、先進各国では、2050年カーボンニュートラルに向け積極的な政策目標を掲げ、地球温暖化を成長分野と捉え、官民一体となってグリーン革命を牽引すべく、様々な政策が発表されつつあります。

我が国としても成長が期待される14分野を定め、民間の従来のビジネスモデルや戦略の転換を促すべく、積極的に支援していくグリーン成長戦略を表明しました。具体的には、グリーンイノベーション基金として2兆円を計上し、民間の研究開発等を支援していきます。こちらは基金を設立することにより、単年度予算ではなく長期的な支援が可能となっています。また、税制面においても、法改正によって税額控除や特別償却が可能になり、積極的な設備投資を促します。こちらは10年間で約1.7兆円の民間投資創出効果を見込んでいます。

脱炭素化に向けた取組は、各国政府のみならず産業界でも広がりつつあります。環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の観点を重視して投資を行うESG投資の流れは世界的に拡大しています。例えば、企業の情報開示について気候変動に関連した情報を開示する動きが拡大している他、気候変動対策に対する投資のための資金調達手段であるグリーンボンドの発行額は拡大しています。

こうした背景を踏まえ、グリーンファイナンスの発行手続きや環境整備を更に検討し、2021年度中にはグリーンボンドガイドラインの改定を行なう計画です。また、一足飛びの脱炭素化が難しい多排出産業においても脱炭素化を進めるための資金調達を円滑化するため、産業別の着実な低炭素移行に向けたロードマップを策定していきます。また、その枠組を通じてアジア各国を巻き込んでいきたいと考えています。イノベーション・ファイナンスにおいては、投資家向けに脱炭素化に取り組む企業の見える化の分野拡大を図っていきます。

さらには、経済成長に資するカーボンプライシングについても現在検討を行っています。カーボンプライシングの検討に当たっては、各企業の脱炭素に向けた取り組みの後押しや、産業競争力の強化、イノベーションや投資の促進につながり、世界全体での脱炭素化に寄与するものである必要があります。炭素に価格をつけ、排出者の行動を変容させる政策手法として炭素税や国内排出権取引、あるいはクレジット取引といった様々な方法があります。経産省と環境省で引き続き検討を行っている状況です。

このように、経済産業省としても、脱炭素化社会に向け、国際社会と連携しつつ、民間・産業界の脱炭素化への取り組みをあらゆる方面から全力で支援し、2050年カーボンニュートラルを見据えた具体的な検討や取組を進め、各省庁・民間と連携しながら、着実に実施していきたいと考えています。

経済産業省 環境政策課長 中原 廣道 氏

◆中原 廣道 氏 プロフィール
平成11年に東京大学大学院を卒業後、通商産業省(当時)に入省。主に産業政策(成長戦略)、エネルギー・環境政策、原子力政策等の分野での政策立案に従事し、令和3年3月から現職。直前は、ジェトロロンドン事務所において、産業調査員として、英国・欧州の通商産業、環境エネルギー政策動向の調査等に従事。

開催日時
2021年6月25日(金)17:00~18:00
タイムテーブル
17:00 開会
17:00~17:05 代表幹事挨拶
17:05~18:00 スペシャル講演(経済産業省 環境政策課長 中原 廣道 氏)
18:00 閉会
場所
株式会社矢動丸プロジェクト 銀座スタジオ
東京都中央区銀座6-2-1 Daiwa銀座ビル 8F(矢動丸プロジェクト内)Google Map
TEL:03-6215-8103
https://yadoumaru.co.jp/access/