賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局
受付時間 平日9:30~18:00
スペシャル講演①では、株式会社アリスタゴラ・アドバイザーズ 代表取締役会長 篠田丈氏にイスラエルを中心に、先端テクノロジーベンチャーの発展する環境にベンチャーキャピタルはどのように関わっているのか?日本企業がイスラエルの先端テクノロジーを上手く利用するには?さらにテクノロジーベンチャーの買収・協業等を上手く行うための方法をこれまでの経験から考察・解説頂きました。
また、スペシャル講演②では、国際ジャーナリスト・キャスター/明治大学国際日本学部教授 蟹瀬誠一 氏に、グローバリズムの崩壊で反転する世界ではこれから何が起きるのか。米中衝突、トランプ再選、ブレクジット(英国のEU離脱)の行方を現地取材をもとに大胆に分析いただきました。
講演内容
弊社は主にアセット・マネジメントとコーポレート・ファイナンスの2つを軸に、独立系アセット・マネジメント会社としてクロスボーダーの投資・運用を提供しています。
コーポレート・ファイナンスやグローバル・エクイティなど外資系証券会社の中で培ってきたクロスボーダー取引の経験を生かし、日本と海外を繋ぐクロスボーダーIPOを始め、リスク低減しながらリターンを維持する効率運用など、これまで日本できちんと提供されてこなかった顧客本位のテーラーメイドな金融サービス・金融商品の提供を目指しています。
中でも、最近特に注目しているのはイスラエルのハイテク分野です。イスラエルの一人当たりGDPは日本よりも高く、人口も増加傾向にあり、国別人口比で見たノーベル受賞者数も圧倒的で、対GDP比研究開発投資も世界1位です。意外と知られていませんが、心血管ステントなど先端医療技術をはじめとした最先端のイノベーションが多数誕生している国です。このような約5,000社とも言われるイノベイティブ旺盛なベンチャー企業の誕生には、その技術開発拠点の多さにも表れています。1,000人あたり研究者の比較を見ても、米国が8.7人に対し、イスラエルは17.6人と倍以上であると同時に、人件費も低いので結果として、世界最先端テクノロジーの集積地としてイスラエルにグローバルなベンチャーキャピタルの参入が活発に行われています。
このように、イスラエルのイノベーション力は世界トップクラスなのですが、その後の成長力(計画性・実施力)に欠けています。一方、逆に日本はイノベーション不足が指摘されていますが、その後の計画性と実行力はとても優れています。その意味でも、イスラエルのハイテク企業は日本に対し大変魅力を感じているところです。
そこで、どのように優れた投資先ベンチャー企業を見つけるかが重要な鍵になりますが、それはディールフロー数と、いかに優れたベンチャー企業に選ばれるかによります。もちろん、その後の企業価値の向上や出口戦略のサポートも不可欠です。これを実行するためにVCファンドは非常に有効なツール・プラットフォームとなります。日以両国とも天然資源に乏しい国であるがゆえに、人や技術分野で成長するしかありません。文化的違いを乗り越え、相互に補完協力する関係を築く礎として、我々がVCファンドを通してその一助を担えるよう、皆様とともに歩んでまいりたいと考えています。
◆篠田丈氏 プロフィール
1985年に慶應義塾大学を卒業後、日興証券ニューヨーク現地法人の財務担当役員、ドレスナー証券(現コメルツ証券)及びING 証券でエクイティ・ファイナンスの日本及びアジア・オセアニア地区最高責任者などを歴任。直前はBNPパリバ証券東京支店の株式・派生商品本部長として、日本での株式関連ビジネスの全般の責任者を務め、2011年4月より現職。
【著書】
『プライベートバンクの嘘と真実』
オックスフォード大学にはブリンドンクラブという悪名高い学生の秘密結社があります。会員は貴族や実業界、政界の名門の家系出身で男子のみ。現在では10名ほどが在籍していると言われています。その歴史は200年にもなり、メンバーから首相や政界で有名な人を輩出しています。ところが、現在のイギリスにおいて、かつてのそのメンバー2人がブレグジットに関して引っ掻き回しているのです。1人は元首相のデイヴィッド・キャメロン。もう1人はボリス・ジョンソン。
ブレグジットは、もともと国民の反移民感情の高まりに起因するのですが、離脱派であるテリーザ・メイと同じ保守党のキャメロンは表向きEU離脱派だが、実はEU離脱反対派です。そこで、彼は国民投票に委ねると発言、選挙で圧勝。ところが、本当の狙いは過半数割れし、離脱反対派と連立を組むことでEU離脱を諦めるという算段でした。が、自身を過信したことで混迷を極め、結果、首相の座を降り、無責任にも議員辞職しました。
また、SNSを利用したEU離脱派のキャンペーンにはロシアの関与がありました。プーチンに関して言うと、トランプの大統領選に関与したことは事実であり、ヒラリーに関する嘘八百をSNSで流したことからも分かるように、欧米を混乱と分断に陥れる狙いがあります。キャメロンの辞職後、メイが首相になるも、議会をうまく動かすことができず、首相を辞任しますが、次に出てきたのがボリス・ジョンソンです。
イギリスではボリスの人気は高く、知的なインテリですが、その言動はトランプに似て、イギリスのトランプと評されています。ある意味では労働者層の支持を得る巧みな戦略と言えそうですが、そのボリスにして、やはりブレグジットは難航極める政治課題であり、現在のところ、解散選挙で信を問うしかありません。実を言うと、なぜ故にボリスが離脱派であるかに関して、政治的な理由はなく、かつてのオックスフォード時代のキャメロンに対するライバル意識によるものなのです。
一方のアメリカも現在、トランプに対するロシア疑惑やウクライナにおける不正ビジネス疑惑のあるバイデン親子への捜査圧力疑惑など、政治的混迷を招いています。そして、私が取材した限りでは、トランプ再選に黄色信号が灯っています。現在、トランプに対する弾劾が行われようとしていますが、これを成立させるためには共和党から20名の造反が必要となります。ある人に取材すると、30名出るかもしれないと言っていました。彼ら自身も自らの政治生命が懸かっているので、地元の世論動向に左右されるからです。ところが、トランプの支持基盤を見てみると、自動車業のような労働者層や米国の人口の約3分の1を占める狂信的福音派の存在があり 、楽観もできません。
さらには、中国も無視できない存在です。中国は最近、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を創設し、世界各国に参加を呼びかけましたが、そこにいち早く参加表明したのはなんとイギリスです。そして、フランスやドイツも参加しており、彼らの目的は、フランスは原発(アレバ)、ドイツは自動車(フォルクスワーゲン)ですが、イギリスの目的は分かりませんでした。最近やっと分かったのは、実は金融(シティ)でした。つまり、不安定なドル経済圏から、元経済圏を握っていこうというものなのです。
私としては、イギリスは早くEUから離脱し、困難を乗り越え、かつてとは言わないまでもさらなる発展を望みますし、アメリカは弾劾成立後、大統領を早くペンスに移行し、次の選挙でさらに真っ当な人物が選出されることで、今よりも平和な世の中になることを望みます。
◆蟹瀬誠一氏 プロフィール
1974年上智大卒。米AP、仏AFP通信社記者、米『TIME』誌特派員を経て、91年TBS「報道特集」キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。テレビ朝日、テレビ東京などでもキャスターを務めた。現在は「賢者の選択FUSION」キャスター。
2008年から20013年まで明治大学国際日本学部初代学部長。現在は同学部専任教授。
価値創造フォーラム理事、ダイヤモンド経営者倶楽部アドバイザー、環境NPOGSA理事、牧阿佐美バレエ団評議員、東京クラシッククラブ専務理事、生き物文化誌学会賛助会員。
【著書】
『テロリズムと報道』、『経営の美徳』(共著)、『男の定年後を死ぬまで幸せに生きる方法』、『中国の世界戦略がわかる』、『日本人だけが知らなかった英語上達法』、『もっと早く受けてみたかった国際政治の授業』など多数。