賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局
受付時間 平日9:30~18:00
第一部は、兵庫県出身でソロ、室内楽、オーケストラ等で精力的に演奏活動を行われているヴァイオリニストの井戸柄里氏に生演奏をご披露いただきました。近くでヴァイオリンの響きをじっくりとお楽しみいただきました。
第二部は、中臣鎌足を始祖とし1400年以上続く藤原北家の近衞家に生まれ、宮中歌会始では講師(こうじ=和歌の読み手)を務められる一方、2015年開催のミラノ国際博覧会「ジャパンサローネ」のクリエイティブ・ディレクターをはじめ、世界的ブランドのイベントプロデュースや政府機関の海外進出など国際的に活躍されている当倶楽部の特別顧問の近衞忠大氏にご登壇いただきました。
プログラム
ヴァイオリニストの井戸柄里氏が登場し、「ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K301 より第1楽章」や「ロンドンデリーの歌 アイルランド民謡」など、ピアノと共に大変華やかな演奏を披露いただきました。アンコールの声もあがり「美女と野獣」を演奏下さいました。
◆井戸柄里氏 プロフィール
桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部卒業。
第45回全日本学生音楽コンクール高等学校の部第一位。
ミケランジェロ・アバド国際コンクール(イタリア)第三位。
日演連新人演奏会において仙台フィル、北西ドイツフィルハーモニー、朝来ジュニアオーケストラと共演。
蓼科高原音楽祭奨励賞、霧島国際音楽祭奨励賞、倉敷音楽祭、朝来国際音楽祭などに出演の他、ソロ、室内楽、オーケストラ等で演奏活動中。
私は、中臣鎌足を始祖とする藤原北家の近衛家に生まれ育ちました。日本の伝統文化を継承する一人として歌会始など宮中行事にも関わっておりますが、実は2歳から、父・忠煇が赤十字で国内外の事業に従事していた関係で、幼少期を本部のあるスイス・ジュネーブで過ごしました。1クラス24人の中に国籍が14もあるというインターナショナルスクールで学びゆく中で、人種や国籍あるいは自らの出自など意識せず育つことができました。
その海外経験もあり、現在はcurioswitchという会社を立ち上げ、日本企業の海外進出のためのプロモーションなど、クリエイティブ事業全般に携わっております。また、外資系企業の日本進出の広告戦略等のプロジェクトにも関わっております。このように、海外との仕事が多いため、必然的に外国の方に日本文化を説明する役回りが多く、結果として、海外の方に日本の様々な伝統文化を学ぶきっかけを頂いたような気がします。
海外との仕事をする傍ら、日本の伝統文化を継承する者として感じるのは、外国からの日本文化に対する注目度の高さと、日本人による日本文化の過小評価というギャップです。フランスでは、国内に滞在するアーティストに対し、全ての美術館は無料だったり、ファッション系の学生はパリコレの時期に有名ブランドのファッションショーを立ち見で見るなど、文化芸術に対する様々な優遇措置が図られています。それに比べても、日本において、伝統文化芸術に対する目線が低いと感じます。
また、私は近衛家の歴史資料の保存施設である陽明文庫の評議員もしておりますが、公的な助成も少なく、ボランティアに近い状態で、使命感だけで務めているような状態です。もちろん、昨今の少子化は、私どもの伝統文化においても深刻化しつつあります。税制上の優遇措置もない故、継承・維持継続は厳しい状況ですが、なんとかこの状況を変えていきたいという一心で頑張っております。やはり変えるには、日本人一人ひとりの意識が大切だろうと思います。
経営者の皆様にはぜひ、そのお知恵とお力添えをいただきたいです。観光立国日本としても、伝統文化を守ることで海外からのお客様に伝えることができるのです。持続可能性のヒントはそこにあります。世代交代が近づき、これからの若者が鍵を握る時代、我々においても減少しつつある若手継承者の活動の自由度を広げること、そして同世代(若者同士のネットワーク)への訴求効果を高めることが必要だと思っております。
◆近衞忠大氏 プロフィール
中臣鎌足を始祖とし1400年以上続く藤原北家の近衞家に生まれる。
少年期、スイスの現地校及びインターナショナルスクールにのべ8年間学び、英語、フランス語を習得。
武蔵野美術大学・映像学科卒業後、テレビ局やプロダクションにて、番組、ミュージックビデオ、CM、ファッションブランド系大型イベントなど、幅広い制作現場を経験。特に語学力をかわれ、外資系企業の日本進出や、日系企業や政府機関の海外進出など、多くの国際的なプロジェクトに携わる。
また、毎年1月に皇居で開催される宮中歌会始を筆頭に、生田神社、毛越寺、熊野本宮、明治神宮などで行われる献詠披講式、曲水の宴などで、講師(こうじ=和歌の読み手)を務める他、能や茶道といった日本の伝統文化と公私ともに深く関わっている。
さらに、陽明文庫の評議委員として、国宝「御堂関白記」(藤原道長直筆の日記)をはじめとする10万件以上に及ぶ歴史的文化財の保護、継承活動にも注力する。
「日本の文化をクリエイティブに世界と結びつける」「普遍的な価値を未来へのこす」が、信条。