賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局
受付時間 平日9:30~18:00
メンバーズスピーチでは、大阪大学産学共創本部の特任准教授である門村幸夜氏にご登壇いただき、「産学連携から産学共創、開かれた大阪大学へ」というテーマで、日々刻々と変わりつつ大学を取り巻く環境の中から、大阪大学が取り組もうとしている活動の内容や今後生き残る大学の姿、そして門村氏が産学共創本部の特任准教授に就任されるまでの経緯やキャリアについてお話いただきました。
スペシャル講演では、1991年の世界陸上選手権で日本人初の金メダルを獲得した谷口浩美氏にご登壇いただきました。谷口氏は「転んでも踏まれても立ち上がれ!」というテーマで、当時の世界陸上で金メダルを手にするに至った経緯やレース中の戦略、そしてこれまでのマラソン人生での経験を生かした体づくりのコツや、トップアスリートのみならずプロとして必要不可欠な様々な要素についてお話いただきました。
講演内容
現在大阪大学は吹田キャンパス・豊中キャンパス・外国語学部・中之島キャンパスの合計4ヶ所のキャンパスがあります。古くは1838年の適塾に源流を持つ本大学は、1931年に大阪帝国大学、そして現在の大阪大学となり、2016年5月には学部生が15,000人を超える、国内最大の国立大学となりました。
それに加え博士課程・修士課程の学生も加えると、その数は23,000人強。教員の数も約6,000人と、大阪大学は合わせて30,000人ほどの組織となるわけです。
私の現在所属している「産学共創本部」は、昨年まで産学連携本部という名称でした。これまで研究や人材育成は学外との連携を重視していたのですが、そこから一歩踏み込んでこうした分野を共に創る場を作ろうという意図で、本年度から改名しスタートを切りました。
今後の大学を語る時に、2つのキーワードがあると考えています。1つは「大学院重点化」、もう1つは「競争的資金」です。
「大学院重点化」ですが、これまでの大学の一般的な流れは、4年時にいかに就職先を探し出すかという点を重視していました。しかし、いわゆる旧7帝大やRU11などの研究を主体とした大学は、逆に大学院をいかに創るかに重きを置いているようになってきているのです。
そして「競争的資金」についてですが、最近では文部科学省や経済産業省が研究課題を募集し、それに大学の方から提案し、資金を獲得するシステムが中心です。そのため今後は、大学の特徴や強みをアピールできるのが生き残りの道となっていくことでしょう。
本日は、私が金メダルを獲得した1991年の世界陸上選手権での戦略や、マラソンに取り組む姿勢などを話したいと思います。
この大会で成績を残すために、私は100日前から準備をしました。その時に、30回の走った記録を全て残してデータ化をしたのです。しかも、レースの参加からゴール、優勝からインタビューまでの全てを台本化させ、データや台本から不安要素を自信に変えました。
レース当日も給水所でのボトルの取り方から先頭集団を抜け出す時で様々な戦略を練りました。
その時々で自己判断をし、それが失敗だったとしてもどう成功へと繋げるかが私にとってのマラソンの楽しみでした。
マラソンの醍醐味の1つは「体づくり」にもあります。トップアスリートには3つの重要な要素があります。それは「プライドを持つ」「プロ意識を持つ」「24時間競技者」です。特に日本の長距離界というのは企業スポーツに救われている面があります。だからこそ、自分の会社に誇りを持ち、常に自分で考え行動することが重要となるのです。
また、マラソンは食事・練習・睡眠のバランスが整った1日の時間割がちゃんと作れないと、体が作れなかったり故障したりしてしまいます。
マラソンランナーは走らない日でも24km、走る日なら80km近くの距離を走ります。ちなみに私は17年間マラソン生活を続けましたが、その結果走った距離は17万km、これは地球を4週以上走ったのと同じ距離になります。これをやりきるには、体が健康であることが最大の秘訣です。
そして、生活の中で情熱・探究心を持つことも大事になります。その過程で出会った監督からの言葉や賢者たちの言葉を私はメモなどに残しているのですが、それに助けられたことが何度もありました。自分をバージョンアップさせるか、学んでいくかがいかに大事かをマラソンによって感じ取り、結果を残すことができたのです。