賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局
受付時間 平日9:30~18:00
2017年最初の新春例会はホテルニューオータニ東京にて開催いたしました。
メンバーズスピーチでは、東京すしアカデミー株式会社の福江誠氏に、日本の寿司業界の現状から「東京すしアカデミー」を設立するまでの経緯や世界的な人気を誇る寿司ビジネスの海外事情を解説いただきつつ、アカデミーの運営やこれまでの事業展開で得たご経験などをふまえた今後の見通しについてお話しいただきました。
スペシャル講演では、『週刊文春』編集長 新谷学氏に、「トランプ・ショック」の背後にあるメディア不信、「週刊誌・冬の時代」のなかで単独快進撃を続ける同誌の戦略、スクープへの覚悟についてお話しいただきました。
講演内容
2002年に「東京すしアカデミー」を開いたわけですが、開校してすぐに反応があったのは海外在住の日本人でした。現地でそれほどクオリティの高くないお店でも大繁盛しているのを見て、これはビジネスチャンスになると捉えたのでしょう。2ヶ月ほどの講座を受けるために海外から日本へ戻り、そして現地でお店を開くという人が多数いました。
世界的な寿司ブームの広がりを受ける中、日本人・外国人を問わずに徐々に受講生が増えていきました。そして今ではトータルで3,500人の卒業生を送り出し、世界50ヶ国以上でおよそ1,000人の卒業が活躍しており、お店を持っている方も多くいます。
卒業生の方達とはSNSで情報交換をしながら、一歩先んじた「そろそろ流行りそうな業態」を研究して出店しようと企画することもあります。「東京すしアカデミー」というスクール事業そのものは一気に広がりをみせるという業態のものではありませんが、卒業生達の情報を通じて新たな事業や価値が生み出されていくという事に、大きな可能性を感じているところです。
ポーランドのワルシャワに「UKI UKI」といううどん屋さんがあるのですが、ここはトリップアドバイザーといった旅サイトを見ても常にTOP5に入る人気店です。ポーランドのように日本と離れた場所での出店は新鮮味という大きな強みがありますが、単独で出店するには非常にハイリスクでもあります。今後はこうした店舗への支援などもできたらという思いを抱いているところです。
その一方、これまで海外に比重を強めて事業を展開してきましたが、これから2020年の東京オリンピックまでは日本国内に注力して事業展開していく予定です。東京オリンピックというイベントを契機に、「日本に行けばこういう寿司が。本場はやはり違うね」という印象を残し、日本の魅力を食という身近な文化から発信していきたいと考えています。
年が明けて「トランプ・ショック」で世の中の空気が変わってきたように感じている。メディアはファクト(事実)をもって世の中と向き合い権力者と対峙するわけだが、ファクトそのものがトランプ大統領の前では無力化しつつある。こうした事態を生み出したのはメディア自身の責任も大きい。アメリカのメディアが特権階級、エスタプリッシュメントの代弁者のように多くのアメリカ国民には映っていたのではないか。
日本でもメディア不信、マスコミ不信が強くなっている。なぜメディアが読者や視聴者の信頼を失っているか、わかりやすいのは芸能界で、同じことをしても所属事務所が強いか弱いかによって報じられ方がまったく違う。週刊文春がレコード大賞買収疑惑について決定的な証拠を示してスクープしても、芸能マスコミは沈黙、ワイドショーにもスポーツ新聞にも一切出ない。一方で、文春のスクープ速報がインターネット上に上がると、あっというまに170万人もの読者のアクセスが集中してネット上で拡散していく。表のメディアであった新聞やテレビの情報に対して、本音のメディアであるインターネットの情報が存在感を増している。そのギャップが広がれば広がるほどマスコミ不信は高まっていく。
いま多くのメディアは、スクープを取るよりも、他が横並びで書いているのに自分たちだけが書けないという、いわゆる「特落ち」を恐れている。たしかにメディアにとっては過酷な時代で、訴訟リスクだけでなくプライバシー権も拡大していて、多くのメディアがスクープから降りてしまっている。でも、ひとつだけ突出するからこそスクープなのであって、横並び志向でリスクを取る覚悟がなければスクープなんて取れるわけがない。いくら相手が強くても権力を持っていても、訴訟をちらつかされても、報じる意義があれば、相手にとって不都合な事実でも報じる。そういうメディアは絶対に必要であり、僭越ながら、それこそが週刊文春が目指すものだ。
「週刊誌・冬の時代」といわれるなかで、どうやって戦っていくか、週刊文春しかできないものは何かと考えたときに最終的にたどりついた結論は、原点に戻って、他が降りてもそのリングに立ち続けよう、と。スクープの力を信じて、歯をくいしばってフルスウィングをし続けていれば、いつかホームランが出るのではないか、愚直にやっていこうと編集部で話し、昨年は切れ目なくスクープを出し続けることができた。そのおかげで、あらゆるメディアが右肩下がりのなかで110%の売上増、反転攻勢をすることができた。いまも毎週悪戦苦闘しているがもう迷いはない。週刊文春は週刊文春の戦いを続けるしかないと覚悟している。こうした我々の背中を押してくれるのが読者からの信頼なのだ。
※事務局にて一部抜粋したものを掲載しております。