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賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局

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活動報告

活動レポート 大阪例会
2023年05月22日
第63回例会 大阪

写真:経済ジャーナリスト 須田 慎一郎 氏

第一部スペシャル講演は、
大阪・関西万博での運航が注目され、次世代の移動手段として話題となっている「空飛ぶクルマ」を開発中の株式会社SkyDrive代表取締役CEO 福澤知浩氏にお越しいただき、プロダクトの開発状況や目指す未来についてお話いただきました。

第二部スペシャル講演は、
「そこまで言って委員会」などメディアでもお馴染み、独自の切り口で人気の経済ジャーナリストの須田慎一郎氏にお越しいただき、先日の岸田首相の爆発物襲撃事件をふまえた要人警護の問題点や、広島サミット翌日にサミットの成果などを存分に語っていただきました。

講演内容

スペシャル講演①

空の移動革命への挑戦~ 日本発 空飛ぶクルマと物流ドローンの開発 ~
弊社SkyDriveは愛知県に本社を置く、「空飛ぶクルマ」と「物流ドローン」の開発・販売を行うベンチャーになります。元々、私はトヨタで日々、「7つのムダ」「ジャストインタイム」「自働化」などトヨタ生産方式を用いた改善活動に従事してきましたが、新しい乗り物をゼロからつくりたいと感じ、休日を利用し、「空飛ぶクルマ」を仲間20人ほどで開発するところからスタートしました。

現在、eVTOL機(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft、電動垂直離着陸機)は世界で約400社が開発を行っていますが、弊社はその先頭グループ(条件:資金調達100~150億円以上、人を乗せて飛んでいる、型式証明の申請を行っている)に位置しています。

2025~6年頃から各社販売開始される予定です。スマートフォンなどドローンに必要なセンサー類の技術革新や電池の密度など複合的要素によって、今後さらに市場拡大が見込まれています。将来性が見込まれれば、さらに大企業との人材交流も深まり、ベンチャーに優秀な人材も集まり、さらに技術的にも事業的にもスピードアップして進化していきます。

「空飛ぶクルマ」(eVTOL機)は、まず車や電車のような道路や線路ありきの移動に生じる渋滞もなく、また、垂直離発着できるので航空機のような大きな離発着場を必要とせず、騒音もヘリの約1/3・車よりも比較的静かに移動ができるというメリットがあります。さらには、ヘリコプターよりも部品点数も少なく、動力部分はモーターのみで、ヘリと比べてもメンテナンスも簡単です。

商業化に際しての課題は、やはり運搬コストと言えます。当面は海外などで自家用ジェットなどを所有する富裕層の方々の移動手段等に使われるかもしれませんが、一般に日常的に使用できるまでには、タクシーと同等レベルにならなくてはいけないでしょう。ただし、近年の技術革新や政府との官民共同の協力体制のもと、法整備も含め、飛躍的に進化し、コスト削減できる余地はおおいにあります。弊社においても、現在、認証を取るべく開発中ですし、2025年には大阪・関西万博で実際にフライトを披露する予定です。

「物流ドローン」に関しても、地上での資材運搬が厳しい山間部に電波塔を持つ電力会社などのニーズもあり、2~30キロの荷物を空から運べるドローンを開発しています。こちらは、交通機関の発達した都市部と比べると比較的フライト単価や使用目的の違いからターゲットが絞られますが、課題クリアするため、研究開発に鋭意努力している次第です。

現在、弊社は100機ほどのプレオーダーをいただいております。また、50カ国のベンチャーが参加したスタートアップワールドカップにて準優勝することもできました。我々は 「100年に一度のMobility革命を牽引する。」をミッションとして掲げています。新しいモビリティで皆さんの生活を豊かにし、これからも日本発のハードウェアスタートアップとして日本のものづくり産業を活性化していきたいと考えております。

株式会社SkyDrive 代表取締役CEO 福澤 知浩 氏
(c)SkyDrive

◆福澤 知浩 氏 プロフィール
東京大学工学部卒業後、2010年にトヨタ自動車に入社し、グローバル調達に従事。
同時に多くの現場でのトヨタ生産方式を用いた改善活動により原価改善賞を受賞。
2018 年に株式会社SkyDrive を設立し、「空飛ぶクルマ」と「物流ドローン」の開発を推進。
経済産業省と国土交通省が実施する「空の移動革命に向けた官民協議会」の構成員として、「空飛ぶクルマ」の実用化に向けて政府と新ルール作りにも取り組む。
MIT Technology Reviewの「Innovators Under 35 Japan 2020」を受賞、世界最大級のスタートアップピッチコンテスト「Startup World Cup 2022」で準優勝、Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング2023」のTOP20に選出。

スペシャル講演②

広島サミットの成功をテコに長期政権化へ~岸田政権の課題と死角~
経済ジャーナリスト 須田 慎一郎 氏

G7広島サミットは失敗が許されない、成功を前提として、この1ヶ月間、岸田政権が全力を注いだイベントでした。そもそも、総裁選では、岸田氏の他、安倍派の高市氏が出馬表明。実は、この舞台裏には安倍氏の存在がありました。安倍氏は党内のパワーバランスが左派リベラルに偏ることを懸念し、河野太郎氏を牽制する意図で高市氏を推したのです。ある意味では岸田政権の生みの親は安倍氏かもしれません。

岸田氏にとっては、脆弱な政権基盤を本格政権にするためには、解散総選挙で勝つ以外ありません。党内議員にとっても、政策実現よりも自身の当選確率が高いほうを選ぶと思われ、2024年10月に行われる自民党総裁選に向けて、権力争いが行われています。

政治スケジュールも総裁選から逆算した日程が組まれ、岸田政権にとってはできれば無投票再選を果たし、盤石な政権基盤を構築したいと考えているでしょう。では、解散総選挙を打つタイミングはいつなのか?私はこの5月、6月辺りの通常国会で打つのではないかと思っています。その根拠の一つが今回のサミット後の世論調査で出てくる内閣支持率の数字です。政権与党の場合、内閣支持率との連動性が高いと言われています。

鍵を握る無党派層の投票行動は内閣支持率(全国平均)に連動しています。つまり、岸田政権が4割の支持率を得れば、無党派層の4割を得ることができるわけです。3割後半であれば普通に選挙に勝てるし、4割あれば盤石になるので、今回のサミットは内閣支持率を上げる絶好機、この通常国会で解散を打つのがベストシナリオではないかと推察します。

もう一点は、野党の動向です。今国会、入国管理法の改正を巡って、立憲民主党は、それまで改正に関して、自民党の譲歩を引き出し、法案に賛成する動きを見せてきましたが、突如として、法務委員会で反対票を投じました。これまで協議してきた法案の附則や合意は消滅し、立憲内部の分裂が表面化しました。そこに党勢拡大のチャンスが生まれた維新の会。自民党としては、維新の会が選挙へ向けての態勢を整える前に選挙をして大勝ちしたいと考えるのは自然な流れと思われます。

しかしながら、我々国民にとっては、国民生活を考えているかどうかも分からない政権が盤石化していくことは良いのでしょうか?次年度予算編成は8月から、その前に経済財政諮問会議で骨太の方針が決まります。その方針がとても重要です。注目ポイントは、防衛予算が5年間でGDP比2%まで引き上げるために、トータル43兆円の予算に対し、少なくとも最終年度に1兆円の財源不足が生まれ、その穴埋めとして増税が行われる可能性が高いということです。
今国会、財源確保法が成立すると、法人税や所得税、タバコ税の増税が予想されます。財務省の影響が強い岸田政権がその骨太の方針で増税路線に舵を切るかどうかが試金石となります。ただし、自民党内には「責任ある積極財政を推進する議員連盟」という積極財政派議員つまり増税反対派の議員らがいます。

岸田政権の主要政策の一つでもある少子化対策も、こども家庭庁の発足とともに、財源確保のため消費税増税を匂わす発言が出てきています。収入に対し税及び社会保険料の占める割合は47%ほどと言われており、これ以上の増税は国民の反発は必至と思われ、このような問題山積のなか、早く解散したほうがいいという声も聞かれます。

では、さらなる増税が囁かれている中、なぜ新聞テレビは反対しないのでしょうか?それは、彼ら自身が軽減税率の恩恵を享受しているからにほかなりません。必ず、財政破綻論が出てきますが、コロナ禍において、補正予算のために70兆円もの赤字国債発行しても、いまだに財政はおかしくなっていないことからも、また国際市場からも日本の国債が破綻すると見られていないことからも、日本の財政になんら問題がないことが分かります。ところが、自民党内の積極財政派の動きをスルーするマスコミ。いまや新聞テレビを受動的に見て知る時代は終わり、インターネットやSNSがこれだけ身近になった現在においては、玉石混交ではあるものの、自ら能動的に情報を取りに行く時代であることを認識し、今後も引き続き政治経済に関心を持っていただければと思います。

Q&A

Q:社長職在籍中は年金が出ないのか?世界各国では国債発行しているが、なぜ日本だけ1兆円程度で増税しなければならないのか?

A:前者のご質問に関しては、現役を退くまでは年金が出ない仕組みなので、例えば、75歳まで在職すれば、そこまで後ろ倒しになるだけだと思う。ただ、政府は受給年齢の引き上げによって、高齢者の受給者数が減ることを期待しているのではないかと思われる。後者については、世界では見られない日本だけの不可思議な仕組みが存在する。それは国債を償還するための積立金、要するに国債を返すためのお金を、国債を発行して数兆円積み立てている。国債は先進国においてはほとんど借り換えており、全部償還することはない。日本だけの仕組みなので、やめればいい。日本の国債が破綻する予兆は全くない。日本の財務省は財政法による財政健全化の呪縛がある。そこは政治のリーダーシップで国民を豊かにしていく政策を押し進めていくしかない。

経済ジャーナリスト 須田 慎一郎 氏

◆須田 慎一郎 氏 プロフィール
1961年、東京生まれ。日本大学経済学部卒。経済紙の記者を経て、フリー・ジャーナリストに。「夕刊フジ」「週刊ポスト」「週刊新潮」などで執筆活動を続けるかたわら、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」、読売テレビ「そこまで言って委員会NP」、文化放送「須田慎一郎のこんなことだった!!誰にもわかる経済学」、YouTubeチャンネル・ニコニコチャンネル「闇鍋ジャーナル(仮)」他、多方面で活躍中。

また、平成19年から24年まで、内閣府、多重債務者対策本部有識者会議委員を務める。政界、官界、財界での豊富な人脈を基に、数々のスクープを連発している。

開催日時
5月22日(月)15:00~17:30
タイムテーブル
15:00     開会
15:05~16:10 スペシャル講演①(株式会社SkyDrive 代表取締役CEO 福澤 知浩 氏)
16:10~16:20 コーヒーブレイク
16:20~17:30 スペシャル講演②(経済ジャーナリスト 須田 慎一郎 氏)
17:30     閉会
場所
リッツカールトン大阪 4F ザ・テラスルーム
〒530-0001 大阪市 北区梅田2丁目5番25号Google Map
TEL:06-6343-7000(代表)
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