賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局
受付時間 平日9:30~18:00
メンバーズスピーチでは、株式会社カンデオ・ホスピタリティ・マネジメントの穂積輝明氏にご登壇いただき、ホテル事業を開業するに至った経緯や、現在の事業内容と今後の展開、そして穂積氏が描く社会貢献のあり方についてお話しいただきました。
スペシャル講演では、脳科学者の茂木健一郎氏に、既に様々な分野で活躍している人工知能が持つ可能性と、そんな人工知能が台頭する社会において、人間が身につけていくべき能力とは何かをご説明いただきました。また、それを踏まえた上で、今後その能力を磨く為に必要な数々の要素や体験を、脳科学者としての立場とご自身の経験などを交えてお話しいただきました。
講演内容
私の父は典型的なサラリーマンでしたが、学歴のせいで出世では大変苦労させられました。そのような「既得権で人の能力が制限されてしまう」という父が経験したこの問題が今のパッションの原点でもあり、我が社では学歴も国籍も性別も不問で採用しています。
また、1995年の学生時に参加した京都市運営のボランティア団体での活動も、私が現在の事業を営む原点になっています。その団体には社会人の方々も参加していましたが、どの方も「仕事との両立」に大変苦労していました。社会貢献のはずの活動なのに苦労をするという矛盾に疑問を覚えました。それならば、この社会貢献活動を民間の営利会社が実践すればいいと考えたのです。
そして、会社員としての経験も重ねた後、2005年に株式会社カンデオ・ホスピタリティ・マネジメントを創業しました。ホテルを運営して行く上で、ある思いがありました。それは「ビジネスホテルとシティホテルの中間にあるようなホテルを作りたい」というものです。しかし、創業後しばらくは、こうした概念のホテルがなく、お客様の足もまばらでした。当初は不安もありましたが、徐々にこんなホテルが欲しかったという声をもらえるようになりました。そして現在は、2025年(20期)にグローバル体制で14,000室、そして年商500億を達成するという目標を掲げて事業展開をしております。
この目標の先にあるのが、農業・医療・教育などの分野を中心とした社会貢献です。ホテルというのは関連産業への裾野が広いという特徴があります。そのシナジーを生かして、これらの分野に携わっていきたいのです。年商が500億あれば、こうした産業に一定規模の保証も可能です。本業で高い収益性を出し、それをベースに継続性のある社会貢献を担っていきたいのです。
今日の講演は「人工知能時代に、人間に求められる能力は何か?」がテーマですが、その結論は「迫力ある決断を下せる能力」と言えます。
現在、人工知能は予想だにしないスピードで進化しています。例えば囲碁と将棋は、今や世界のトッププロを倒すほどです。それを可能としたのは、人工知能の強みであるビッグデータを基礎にした統計的学習です。この人工知能により、日本の受験や偏差値に代表される、賢さや頭の良さは代替され不要になるかもしれません。
それに対して、脳の凄さはサンプルが少ない状態にあってもそれを実行に移せるという点にあります。なぜそれができるのかというと、選択・決断は積み重ねられた理由ではなく、直感によってなされるからです。そしてこれは、ビッグデータのように膨大なサンプルがあることでその能力を発揮する人工知能には出来ない事です。
そして、直感的な決断力を磨くには体を使うことが大切です。なぜならば、選択というのは「身体性」と深く結びついているからです。瞬間的な決断が絶えず要求されるスポーツを通じて、すぐにアクションするという習慣を鍛えられるのです。
またそれ以外に、決断には「安全基地」と呼ばれる存在も重要となります。安全基地とは、言い換えれば「他人との絆」です。子であれば両親、大人であれば先輩・上司や仲間の存在です。彼らに見守られているという感覚があることで、多くのチャレンジが可能となるのです。
そしてもう1つ、決断において重要な要素があります。それは「メタ認知」です。メタ認知とは「客観的に自分を見ること」で、これができる人ほど、質の良いリスクを取ることが可能です。このメタ認知には、他人の存在が不可欠です。多くの人と接することで自分の性格や欠点を客観的にみることができるようになるのです。