賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局
受付時間 平日9:30~18:00
今回は特別に、当倶楽部の発起人である株式会社レノバ代表取締役会長の千本倖生氏にご登壇頂き、先日、中央公論新社から上梓された『あなたは人生をどう歩むか ~日本を変えた起業家からのメッセージ~』のご紹介をいただきました。
メンバーズスピーチでは、東工大関連ファンドの仕掛け人で大学発ベンチャーを資金面などで支援する独立系ベンチャーキャピタルを立ち上げた株式会社みらい創造機構代表取締役社長の岡田祐之氏にお話をいただきました。
また、スペシャル講演では、ソウルオリンピック金メダリスト(男子100m背泳ぎ)でスポーツ庁長官の鈴木大地氏にご登壇頂き、未来戦略、スポーツを核とした地域・経済活性化の取り組みなどについてトップアスリート、トップリーダーの視点からご講演いただきました。
講演内容
みらい創造機構は東京工業大学発の科学技術開発研究と産業界との連携による未来への創造に投資するベンチャーキャピタル事業を立ち上げ、事業開発、コンサルティング、人財育成など、あらゆる枠組みを超えたオープンイノベーション事業を進めております。
幼い頃、バスの運転手、ジャニーズの歌手を夢見た私は、東京電力に入社し、研究開発の道を歩むことになったのですが、上司がチャレンジポストで配置転換されていなくなったり、米国大学への派遣計画も頓挫してしまったり、その一方で、ベンチャーキャピタルへ派遣されることになりました。そして帰任した後、投資やM&Aへの部門転換となり、3月11日の東日本大震災を迎えました。その後3年を経て退職し、みらい創造機構を創業し、東工大との連携によるベンチャーキャピタルを組成いたしました。
このように、私の人生・キャリアは、人との出会いの連続という偶発性によってもたらされたと思っています。現に、その偶然を計画的に設計し、より良いものにしていこうという「計画的偶発性理論」がスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱されています。
別の側面では、私のキャリアは、雇われ側から雇う側、発注側から受注側、投資する側から投資される側、開発側からマーケティング側、技術側から金融側、大企業側から中小企業側という両面の「二刀流」だと思うのです。この「二刀流」の経験はこれからのAI時代の新たなオープンイノベーションにとても重要なカギを握ると確信しております。
「新しい出逢いが未来をつくる」をモットーに、社会的潜在価値を創造し「未来を創る」ため、私どもはこれからもさらに取り組んでまいります。
◆岡田祐之氏 プロフィール
1970年生まれ。
1996年 東京工業大学大学院総合理工学研究科エネルギー科学専攻修了。
1996年 東京電力株式会社入社。原子力部門にて新技術開発に従事。その後、ベンチャーキャピタルに出向しハンズオン支援を手掛ける。「大企業と中小企業」、「事業会社と金融」を理解し、事業組成からサービス化、営業戦略までの戦略立案と実行の経験を積む。
2014年 みらい創造機構を設立。代表取締役社長に就任。
私は、高校在学中にロサンゼルスオリンピックの水泳選手として初代表に選ばれ、ソウルオリンピックでは優勝することができました。しかし、僅か0.1秒差での優勝は自らが勝ち取ったものではなく、頂いたものと感じ、それ以降、水泳競技を通して社会貢献したいと思ってまいりました。
引退後は、大学講師の傍ら水泳部監督や水泳連盟理事など務め、その後、現在スポーツ庁長官としてお声掛けいただき、水泳のみならず、あらゆるスポーツを通して一億総スポーツ社会を目指し、精力的に取り組んでおります。
スポーツ庁は、多くの省庁や民間も含め、約130名の体制で構成されており、各省庁や業界の垣根を超えたスポーツオープンイノベーションを促進しています。また、昨今の増大する医療費抑制に向けたスポーツ活性化の施策も多く実施しております。
平成29年度の調査では、20~50代の働き盛り世代のスポーツ実施率が40%台と低く、ビジネスパーソン向けの取り組みも行っております。例えば、国立代々木体育館室内水泳場を朝7時から開放し、出勤前の時間を活用しひと泳ぎしてから出勤するなど、利用率も9割を超えており、とても好評です。
また、民間企業におけるスポーツ促進にも協力させていただいております。出退勤の際には、最寄りの駅をひと駅ずらし、できるだけ歩くようにするなど、各企業のスポーツ×健康に対する取り組みはとても素晴らしいものです。
ビジネスにおいても、成長産業化を図り、市場規模を2025年に15兆円という大きな目標を掲げ、様々な施策を推進しております。例えば、スタジアム・アリーナ改革では、単機能型から集客を見込める多機能型へ、経済効果をより高め、雇用創出するなど地域活性化にも繋がります。
その具体的施策として、スポーツ・ツーリズムなどが挙げられます。群馬県みなかみ町のラフティングや富山県南砺市のトレイルラン、沖縄県糸満市のサバニなど、地域の自然や特色を活かし、イベント・大会などを通じて、地域への社会的効果・経済効果の創出を図ります。
最後に、2020東京オリンピックをスポーツに関心が高まる絶好の機会とし、スポーツで未来を創るモデルケースとして日本が世界に発信できるよう、これからも邁進してまいります。
◆鈴木大地氏 プロフィール
1967年生まれ。
競泳選手として1984年ロサンゼルス、1988年ソウル五輪に出場。ソウル五輪では男子100メートル背泳ぎで、日本競泳界に16年ぶりの金メダルをもたらした。順天堂大学大学院を卒業後、米コロラド大学ボルダー校客員研究員、ハーバード大学のゲストコーチなどで留学を経験。2007年には順天堂大学で医学博士号取得し、2013年同大学教授。同年には日本水泳連盟会長、日本オリンピック委員会理事に就任。2015年10月より現職。また2016年10月にはアジア水泳連盟副会長、2017年7月には国際水泳連盟理事にそれぞれ選任された。