賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局
受付時間 平日9:30~18:00
メンバーズスピーチでは従業員50名以上の企業が義務として実施している単純なストレスチェックに替わり、企業の課題解決までを視野に入れた、AI解析による独自のサービス「ラフールサーベイ」を展開するメンタルヘルステック企業、株式会社ラフールの結城啓太氏にご登壇しいただきました。
また、スペシャル講演では、「シェアリングエコノミー」の現在と今後の展望を内閣官房シェアリングエコノミー伝道師/一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局長、1989年生まれ(30歳)のミレニアム世代の女性リーダーとして中央省庁からも注目を集める石山アンジュ氏に語っていただきました。
講演内容
私たち株式会社ラフールは、メンタルヘルスを専門に扱い、働き方改革支援を行うプロ集団です。お陰様で、現在弊社が開発・運営する、健康経営を実現するための組織改善ツール「ラフールサーベイ」をご導入いただいている企業様は、本年2月の提供開始からおよそ4ヵ月で150社を突破しています。昨今、我が国では人口減少に伴う労働力不足が指摘されており、高齢化と共に2050年には今よりさらに30%以上減少し、高齢化率40%の時代を迎えようとしています*1。日本の労働生産性はOECD加盟36ヶ国中20位と、1980年代から改善が見られない現状にあります*2。
政府としても労働生産性を向上させるべく働き方改革を推し進めており、本年4月より新たな法律が施行されました。一人あたりの労働時間短縮も義務化が進み、より一層、従業員一人ひとりの生産性向上が重要視されます。その対策のカギとなるのは従業員や組織の状態をしっかりと把握することにあります。
そして、その生産性向上を実現するためには、まず時代とともに働く人の意識が変化している現状を知る必要があります。かつて1980年代頃までは、お金や出世を夢見て従業員が主体的に働く時代でしたが、現代においては、仕事を通して自己実現を求めるよりも、仕事とプライベートを完全に切り離し、仕事よりもむしろ趣味や友人・家庭を大事にし、自分らしさを優先するという価値観に変化しつつあると言われています*3。
特に若い世代が働く目的を見失っている中、働くモチベーションやエンゲージメント(会社に対する愛着心)の向上に注目が集まっていますが、それだけで生産性を向上させることは容易ではありません。個人それぞれの特性を把握し、メンタルおよびフィジカルの両面をしっかりとケアして初めてエンゲージメントやモチベーションの向上に繋がり、ひいてはそれが組織としての生産性の向上に繋がるのです。
また、年々増加傾向にある労災問題は現代のストレス社会においてより一層深刻化しており、企業にとっても取り組むべき課題ですが、多くの企業では調査そのものが目的化してしまっているように見受けられます。
そこで、弊社の「ラフールサーベイ」では、職業性ストレス簡易調査のみならず独自の調査項目を追加することで、組織の生産性と職場・個人リスクを見える化。その原因を特定し解決策を実施するという、包括的なサポートを実現しています。これらの有効な指標を明確にすることによって、各部門の課題を早期に発見し、対策を講じることが可能となります。
最後に、弊社のメンタルヘルスケア事業を通じて、笑顔(ラフ)が満ちあふれる(フルネス)環境「ラフールネス」を作ることによって、企業で働く従業員の皆さまが健康で幸せであり続けられるよう支援し、さらには世界中を笑顔にしていきたいと思います。
*1…OECD.Star 2018.9.15(一部旧データ)、総務省統計局「労働力調査」より
*2…公共財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2018」より
*3…野村総合研究所「NRI生活者1万人アンケート調査」(2015年)より
◆結城啓太氏 プロフィール
株式会社ラフール 代表取締役社長 執行役員CEO
1981年、宮城県生まれ。
2000年、株式会社アイエムエスに入社し、わずか3年で最年少管理職に昇進。
その後、営業支援会社などを経て、2008年、株式会社トラストマネージメントの取締役に就任。
2011年、株式会社ラフールを設立し、代表取締役社長に就任。2019年2月、健康経営を実現するための組織改善ツール『ラフールサーベイ』を提供開始。
私が考えるシェアリングエコノミーの原風景は、江戸時代の長屋です。昔は生活において、ご近所や同じ地域の人と物の貸し借りや何かを共有するコミュニティが一般的でした。それが現代はインターネット上のプラットフォームを通じて世界中瞬時に個人間でシェア(賃貸・売買・提供)していくコミュニティとなり、そこに新しい経済が生まれる。そのような、テクノロジーによる共有経済がこれからのインフラになると想い、私自身も実践しながら推進しています。
シェアリングエコノミーにおいては、サービスや物を提供する側は企業ではなく個人であり、その質や価格を決めるのも利用者などのレビューの集合知による評価システムによって決まるので、企業としてはそのプラットフォームを提供する(プラットフォーマーは手数料を得る)形になります。
シェアリングエコノミーの市場規模も、2018年度1兆8千億円を記録し、今後も市場規模拡大していくと予測されています。その要因と思われるものはアンケートにも表れていて、「幸福度」や「社会との繋がり」を感じる理由も影響している結果となっています。
シェアリングエコノミーサービスの種類は多岐に渡ります。空間や遊休施設のシェアや民泊のような居住型ホームシェア。荷物の預かりシェアや、その地域のガイドをするサービス企画や子育て支援シェアなどが存在しています。
このようなシェア経済は、社会参画や共助の地域創生、遊休資産活用や付加価値の創造といった社会にもたらすメリットも挙げられます。そして、これらは地域創生や持続可能な社会。さらには、イノベーションの創出という社会貢献にも役立っていると考えられます。
モノが溢れる今の時代、人々の価値観も変わり、豊かさの基準も「お金」から「人との繋がり」にパラダイムシフトし、帰属意識も、かつては血縁家族や所属組織などが中心だったコミュニティが、趣味や消費や価値観の共有によるコミュニティへと変化しています。
このような“シェアライフ ”は3つの「信頼」で成り立っています。1つ、ローカルな信頼。2つ、制度に預ける信頼。そして3つ、テクノロジーによる信頼です。ローカルな信頼や制度に預ける信頼は従来のものですが、テクノロジーによる信頼という新しい信頼をどのように担保していくのかが今後の課題とも言えます。
また、シェアリングエコノミーの取り組みはまちづくりの一環としても世界中で採用されています。アムステルダム市やソウル市、そして日本政府の「骨太方針2018」の中でも重点施策の1つとして位置づけられており、少子高齢化の地方自治体における公共サービスの不足部分を埋めるシェアサービスの利活用はその解決策となり得る。
その為にも今後も個人の生活やライフスタイル、さらに個人の生活やライフスタイルを支える新しいインフラとなるよう、引き続きシェアリングエコノミーの発展に貢献していきたいと考えております。
◆石山アンジュ氏 プロフィール
1989年生まれ。「シェア(共有)」の概念に親しみながら育つ。
2012年国際基督教大学(ICU)卒。新卒で(株)リクルート入社、その後(株)クラウドワークス経営企画室を経て現職。シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。総務省地域情報化アドバイザー、厚生労働省「シェアリングエコノミーが雇用・労働に与える影響に関する研究会」構成委員、経済産業省「シェアリングエコノミーにおける経済活動の統計調査による把握に関する研究会」委員なども務める。
2018年米国メディア「Shareable」にて世界のスーパーシェアラー日本代表に選出。ほか NewsPicks「WEEKLY OCHIAI」レギュラーMC、拡張家族Cift メンバーなど、幅広く活動。著書に「シェアライフ-新しい社会の新しい生き方-(クロスメディア・パブリッシング)」がある。