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賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局

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活動報告

活動レポート 東京例会
2020年10月27日
第45回例会 東京

写真:スペシャル講演 国際ジャーナリスト 蟹瀬 誠一氏/笹川平和財団 上席研究員 渡部 恒雄氏

メンバーズスピーチは、デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 保手浜洋介 様にご講演頂きました。富裕層が抱える資産保全・承継にかかる課題に対して、豊富な経験と高い問題解決力を発揮し最適化に貢献されてきた保手浜様が、令和時代の資産防御法について専門家の視点からご講演下さいました。

スペシャル講演は、国際ジャーナリスト 蟹瀬誠一様と笹川平和財団 上席研究員 渡部恒雄様をお招きし、11月3日に行われた大統領選挙直前のアメリカの動きや日本への影響、また、アフターコロナの世界情勢についてお話いただきました。国際問題に見識があるお二方に対談形式で語って頂く貴重な機会でした。当倶楽部の代表世話人でもあります蟹瀬様のご講演は、この例会でしか伺えない秘話もあり大変ご好評を頂いております。
講演内容

メンバーズスピーチ

「令和時代の資産防御術」
デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 保手浜 洋介氏

私どもデロイト トーマツ税理士法人は、監査法人トーマツというデロイト トーマツグループの中核的組織の税務を担当しています。皆様には法人向けサービスを主力として多くの企業様の財務監査業務を行うことでご存じかと思いますが、現在、富裕層向けにファミリーコンサルティングを行う専門性の高いプロフェッショナル集団として80名を超える専門家が在籍しています。

日本では資産を守ることが非常に難しいと言われていますが、その原因は主として資産税に関する諸問題が挙げられます。資産税は財産評価を基に計算されますが、その評価が適切に行われていないケースが多々見受けられます。

例えば、土地の評価について、ベースとなる路線価算定が問題になるケースは少ないものの、形が歪な土地や線路沿いの土地、あるいはお墓の近くの土地など、様々な「補正」を見落としているケースがあり、結果として高い評価によって相続税などを納めている方が多くいます。

また、地方税である固定資産税にかかる評価算定は専門性を持たない市役所の公務員が行ないますが、地方税収の約4割を占める建物等の固定資産税における財産評価を下げることは、自ら税収を下げることになるという制度上の欠陥によって、本来払う必要のない固定資産税を払っているケースもあるのです。

また、評価者である税理士の経験不足も挙げられます。相続税の申告件数は平成30年で見ると116,341件ですが、それに対し税理士の数は78,795人です。つまり、一人当たり年間約1.4件と、非常に少ないと言えます。では、税理士は年間を通して何をしているかというと、主に会計業務に従事しているというのが現実です。このように、専門性を有していても、その評価算定は非常に難しいのです。

弊社では、FRE(Family Real Estate)戦略に基づく財産及び不動産の保有戦略を行なっています。固定資産税評価額の見直し期限は3年または5年です。ファミリータックス分析、不動産ポートフォリオ分析、将来キャッシュフロー分析等、各種分析を行ない、ファミリー財産を世代を超えて守っていくための戦略をご提案申し上げます。ファミリービジネスをいかにして守っていくのか、承継コストをいかに抑えるか、が現役世代の責任なのです。ぜひ、経験豊富な専門家集団にご相談ください。

デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 保手浜 洋介 氏

◆手浜 洋介氏 プロフィール
大手金融機関勤務を経て、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)に入社、外資系金融機関や大手電子部品メーカーの金融商品取引法監査、会社法監査に従事。税理士法人トーマツ(現デロイト トーマツ税理士法人)に出向し、移転価格業務に従事、主に日系の多国籍企業が行う国外関連取引に関する移転価格税務コンサルティングに関与。独立し、2015年に資産税専門の税理士法人を設立、財産評価の高いノウハウを武器に相続税還付の分野で業界屈指の実績を残したほか、資産税コンサルティング分野でも高い問題解決力を発揮、数多くの資産家の資産税負担の最適化に貢献。富裕層が抱える資産保全・承継にかかる幅広い課題のソリューション提案に豊富な実績を有する。2020年3月よりデロイト トーマツ税理士法人 ファミリーコンサルティングならびにDeloitte Private Japanに所属。

スペシャル講演

「アフターコロナの世界情勢 アメリカ大統領選後の世界の行方 〜トランプ再選はあるのか?〜」
国際ジャーナリスト・外交政策センター(FPC)理事 明治大学国際日本学部 名誉教授 蟹瀬 誠一氏
公益財団法人笹川平和財団 安全保障研究グループ 上席研究員 渡部 恒雄氏

アメリカ大統領選挙の行方とトランプ氏の人物像について

蟹瀬 誠一氏(以下、蟹瀬):前回2016年の米大統領選では、多くの専門家が予想を外したため読みが慎重になっています。私もその一人でしたが、今回はバイデン氏が勝つと思います。2016年とは状況が違う。まずコロナの大流行。そしてトランプは内外に混乱を引き起こした現職です。トランプ支持者やトランプ氏に便乗した共和党議員らの離反が始まっています。私が今回いちばん信頼しているのは英週刊誌「エコノミスト」の予測です。2016年に読みを誤った反省から、膨大なビッグデータを使い毎日予測を更新している。それによると「トリプルブルー(ブルーは民主党のシンボルカラー。トリプルブルーとは大統領、上院、下院を民主党が制覇すること)」の可能性すらあります。トランプ氏は不動産王として知られています。しかしビジネスセンスはゼロ。4度も倒産して父フレッド氏に助けてもらっています。不動産王を演じただけのニセ者です。

渡部 恒雄氏(以下、渡部):私も2016年には予想を外しましたが、注目するのは接戦州(ウィスコンシン、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニア、フロリダ)の世論調査です。ヒラリー氏が軒並みリードしていましたが、蓋を開くと全てトランプ氏が取りました。今回、票を多く取るのは間違いなくバイデン氏だと思われます。ただ、それがバイデン氏の勝利に繋がるかどうかは分かりません。トランプ氏が5千万票以上の郵送票について陰謀論的にクレームを付け、裁判に持ち込む可能性もあります。ビジネスマン時代からトランプ氏は数々の訴訟を起こしてきましたが、それは勝つためではなく負けないためです。トランプ氏個人の巨額の負債に関しても外国の金融機関からの借金の可能性が指摘され、外交リスクではないかと指摘されています。実の姪が指摘する「負け」を拒絶するトランプ氏の精神構造を理解する必要があります。

大統領選挙とアメリカの現状について

蟹瀬:よっぽどのヘマをやらない限り、アメリカの大統領選では現職が再選されるのですが、今回は違う。しかも敗北を認めないトランプが全米で内戦を思わせるような大混乱を起こす可能性があります。トランプを熱狂的に支持する極右勢力が全米各地で暴動を起こすのではないかという不安が広がっているため、今年は銃が記録的に売れています。

渡部:過去の大統領選挙では、現職が落ちるのは経済が悪化した際です。ジョージ・ブッシュ(父)氏やカーター氏が挙げられます。経済が良好であれば、落選することはまずないと言えます。銃規制に反対する民主党支持者ですら、銃の購入が増えているぐらい、選挙後の混乱が予想されていることは、由々しき状況です。

コロナ禍における米国内の政治的世論について

蟹瀬:今やホワイトハウスでもコロナ感染が広がっていますが、マスクを拒否するトランプ氏自身がスーパースプレッダー(感染症を引き起こす病原体に感染したホストのうち、通常考えられる以上の二次感染例を引き起こす者~Wikipediaより)だという説まである。アメリカの感染者数はさらに急増しており、トランプ岩盤支持層であるエバンジェリカル(福音派)の中でも犠牲者が出ていて、さすがにトランプ支持も弱体化しているといわれています。

渡部:私は15年アメリカに住んでいましたが、マスクをしたことは一度もありません。アメリカ人はマスクをしない、逆にマスクをしている人を嫌います。これがアメリカ人のメンタリティです。トランプ氏自身がマスクをしている人をバイデン支持者呼ばわりすることで、マスクをする人はバイデン支持者、しない人はトランプ支持者というような分断を誘発しています。しかし、ここにきて、感染者数が急増しているので、もしトランプ氏が再選されなければ、結局、トランプ氏はコロナに負けたということになると思います。

アメリカ経済について

蟹瀬:トランプ氏は財政出動と低金利政策によって株高を維持しようとしてきました。そして増税やハイテク・金融分野の規制強化を目指すバイデン氏が勝利すると、経済が失速すると脅しています。しかし、増税と歳出増を合わせて考えればバイデン大統領誕生は契機の追い風になりえる。アメリカでは株価は全体的な経済活動の指標ではなく、富裕層がどのくらい儲かっているかの指標にすぎません。ここは重要な点です。11月はヘッジファンドの決算時期ですから益出しのために株が売られ、下落するのでトランプには不利でしょう。

渡部:トランプ氏にとって大事なことは株価を下げないことです。富裕層の支持者向けもありますが、401K(確定拠出年金)という制度によって退職金が株価連動しているため、中間層にも響いてきます。つまり、このコロナ禍の影響によって株価が下がれば、トランプ支持層にも十分影響が出てくるわけです。現在、バイデン氏勝利が予想される中で、バイデン陣営の運動資金量が増加傾向にありますが、その中には大企業によるものも多いと思います。バイデン氏自身は左派ではなく中道派であり、民主党政権と民主党議会の組み合わせのほうが、大規模な経済刺激策を取りやすいので、民主党議会の選挙での勢いに合わせて、勝ち馬に乗ろうとしているようです。

アメリカの外交と日本の対応について

蟹瀬:トランプ大統領の外交は一貫性のない思いつきの首脳外交ですが、バイデン氏は中国に対して人権や自由、民主主義などイデオロギーを重視して対峙する可能性があります。香港の民主化運動しかり、台湾問題しかり、厳しいものになるでしょう。ただ、トランプのようなけんか腰ではなくバランスを考えた対応になるでしょう。今後は、中国とアメリカの間でテクノロジー分野での対立が先鋭化していきます。そんな中で日本は難しい舵取りを強いられますが、私はバイデン氏のほうが予測可能な対応ができるという点で望ましいと思います。

渡部:中国はバイデン氏よりトランプ氏のほうが好都合だと思っているでしょう。トランプ氏は、公約の貿易赤字縮小のための、習近平氏と通商ディールをしたいと思っているので、選挙対策と外交上の駆け引きとして中国を厳しく非難しているが妥協の可能性があります。バイデン氏は、ロシアが周辺国の民主化運動に対する弾圧に厳しい目を向けており、人権面で中国に厳しいでしょうが、地球温暖化対策では協力を志向しており、トランプ氏に比べて政策の振れ幅は少ないと思われます。日本は、短期的にはトランプ氏でも良いかもしれないが、長期的にはリスクがあると思います。一方、バイデン氏は短期的にやりやすくはないがリスクは低く、政策が想定しやすいというメリットがあります。日本は米国大統領を選べないので、どちらになっても、日米同盟を基軸にしながらも、米中対立の狭間でバランスを取って柔軟に対応していく必要があるでしょう。

国際ジャーナリスト・外交政策センター(FPC)理事 明治大学 国際日本学部 名誉教授 蟹瀬 誠一氏

◆蟹瀬 誠一氏 プロフィール
上智大学文学部新聞学科卒業後、米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米TIME誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のTV報道界に転身。東欧、ベトナム、ロシア情勢など海外ニュース中心に取材・リポート。国際政治・経済・文化に詳しい。現在は『賢者の選択』(日経CNBC、サンテレビ、BS―12など)のメインキャスター。カンボジアに小学校を建設するボランティア活動や環境NPO理事としても活躍。(社)価値創造フォーラム理事、(株)アバージェンス取締役。2008年より2013年3月まで明治大学国際日本学部長、現在は名誉教授。趣味は、読書、美術鑑賞、ゴルフ、テニスなど。東京クラシッククラブ専務理事。

◆著書
・『ドナルド・トランプ世界最強のダークサイドスキル』(プレジデント社)
・『これ一冊で中国の世界戦略がわかる!』(青春出版社)
・『もっと早く受けてみたかった国際政治の授業』(PHP研究所)
・『ジャーナリズムの条件』(共著 岩波書店)
・『ズバッと伝わる技術』(フォレスト出版)
・『1日15分が一生を変える』(三笠書房)
・『すべての情報は一冊の手帳にまとめなさい』(三笠書房)
・『4つの資産』〔講談社〕
・『蟹瀬誠一が教える日本人だけが知らなかった英語上達法』〔中経出版〕 など多数

公益財団法人笹川平和財団 安全保障研究グループ 上席研究員 渡部 恒雄氏

◆渡部 恒雄氏 プロフィール
1963年生。東北大学歯学部卒。1995年ニュースクール大学(NY)で政治学修士課程修了。
同年、CSIS(戦略国際問題研究所)に入所、上級研究員等を歴任。三井物産戦略研究所、東京財団を経て2017年より現職。
近著に「グローバル時代のアジアの国際協力」(共著、芦書房)。

開催日時
2020年10月27日(火)18:00~20:30
タイムテーブル
18:00 開会
18:00~18:05 代表幹事挨拶
18:05~18:45 メンバーズ・スピーチ(デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 保手浜 洋介氏)
18:45~19:00 コーヒーブレイク
19:00~20:30 スペシャル講演(国際ジャーナリスト 蟹瀬 誠一氏/笹川平和財団 上席研究員 渡部 恒雄氏)
20:30 閉会
場所
帝国ホテル東京 本館4階・桜の間
東京都千代田区内幸町1-1-1Google Map
TEL:03-3504-1111
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