活動レポート 東京例会2021年6月11日

第51回例会 東京

一般社団法人NWHスポーツ救命協会 代表理事/プロレスラー 蝶野正洋氏

写真:スペシャル講演② 一般社団法人NWHスポーツ救命協会 代表理事/プロレスラー 蝶野正洋氏

スペシャル講演①は、Gemba Lab代表(元朝日新聞編集委員)安井孝之 氏です。菅政権が2050年までの脱炭素「カーボンニュートラル」を宣言したことで、2035年に純粋なガソリン車の新車販売が禁止されます。日本も一気にクルマの電動化に向けて動き始め、世界的な熾烈なカーレースが火ぶたを切りました。欧米と中国の自動車メーカーだけでなくGAFAと呼ばれる巨大プラットフォーマーとも日本勢は激突します。550万人といわれる自動車関連産業の雇用やサプライチェーンに大きな影響を与えるばかりか、エネルギー業界などすべての産業を一変させる新産業革命が起きようとしています。日本の自動車産業は生き残れるのか、そして私たちの暮らしや社会がどのように変貌するかについてお話頂きました。

スペシャル講演②は、一般社団法人NWHスポーツ救命協会 代表理事/プロレスラー 蝶野正洋 氏にご講演頂きました。2010年から救急救命の啓発活動を始め、省庁、各自治体、地域が行う救命イベントなどを支援し、2014年には一般法人ニューワールドアワーズスポーツ救命協会を設立されました。救命措置が必要な現場は、救援を待つまでの間、民間での対処対応が求められています。人が倒れたとき、怖がらずに一歩を踏み出すにはどうしたらいいのか?人命を守るための知識は、日常社会、家庭でも必要なものです。また、救急救命の知識の向上だけでなく、災害時における自助・共助・公助の大切さを知ることは、安心・安全なまちづくりにつながります。コロナ禍における除菌対応も含めて、蝶野正洋氏が命を守る強さとはなにかについてお話下さいました。

講演内容
スペシャル講演①

「2035年「ガソリン車」消滅/クルマの電動化で産業、社会、暮らしはどう変わるのか」

Gemba Lab代表(元朝日新聞編集委員)安井 孝之 氏

Gemba Lab代表(元朝日新聞編集委員)安井 孝之氏

2021年6月東京例会

日本政府は去年12月、2035年までに新車販売で100%の電動化を進めるために、ガソリン車の販売を禁止することを決めました。日本で現行のハイブリッド車(HV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)も電動化の範疇に入ります。また、水素と酸素の化学反応で発電しながら走る燃料電池車(FCV)やバッテリーの電力のみで動く電気自動車(EV)も含めたこの4タイプしか新車販売できなくなります。

実は、国際エネルギー機関(IEA)の統計資料によると、2015年以降、中国や欧州や米国などで急速にEVやPHVが増産されていることが分かります。それは日本のハイブリッド車の台頭によって戦略を迫られた結果でした。今から10年ほど前、日本はEVやPHV領域において世界で5本の指に入っていましたが、2019年になると、世界にあるEV・PHV車(保有ベース)720万台のうち、中国が47%、欧州は24%、アメリカは20%となっており、今や日本はその他9%に含まれる12ヶ国の1つとなってしまいました。

そこで、昨年10月、菅政権によって2050年までにCo2排出量ゼロを目指すという「カーボン・ニュートラル」の宣言がなされ、12月までに具体的な方針が一気に決まっていきます。それが2035年までにHV・PHV・FCV・EVしか新車販売できないというものです。しかし、世界の潮流はすでにその方向にあり、日本は遅ればせながら、政府と産業が一体となって取り組んでいかなければならない喫緊の課題でもありました。菅政権によって決定されたものの、自動車業界を巻き込んで電動化議論がなされていますが、いまだ混乱している状態です。

『電動化=EV化なのかどうか?』という議論において、EV化は世界の潮流だと主張する側と電動化イコールEV化ではないと主張する側で二分されているような状況です。ただ、このような議論を次の評価指標で見ることができます。ライフ・サイクル・アセスメント(資源採取/原料生産/製品生産/流通・消費/廃棄・リサイクル)全体でCo2排出量を見ると、現時点ではEV車よりもHV車のほうが排出量は少ないのですが、再エネ化が進むとともにEV車のほうが排出量が低くなっていく可能性が出てきます。つまり、EV化なのかどうかという議論は再エネ化が進むかどうかに深く関わってくるのです。

また、「カーボン・ニュートラル」の流れは産業全体に変革をもたらします。自動車産業にとって『CASE』…Connected(コネクティッド)・Autonomous(自動運転)・Shared & Service(シェアリングとサービス)・Electric(電動化)、は未来へのカギと言ってもよいでしょう。車がスマートシティのインフラを支える端末となり、ネットや送配電網と繋がり、人や街や社会とつながっていく『スマートマシン』となる未来が到来すると思います。

おそらく現在考えられるシナリオは、2030年頃を契機にHVから大きくEVへシフトしていき、そのための再エネ発電開発が急速に進められていくだろうと思います。そして、再エネ発電開発が進めば、その技術を途上国にインフラ輸出していけば、世界的にもさらにEV化が加速します。これ以上、世界の潮流に乗り遅れないためにも、日本の自動車産業全体として、日本が目指す「カーボン・ニュートラル」における再エネ化へ積極的に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。

Gemba Lab代表(元朝日新聞編集委員)安井孝之 氏

◆安井 孝之氏 プロフィール

1957年兵庫県生まれ。早稲田大学理工学部卒、東京工業大学総合理工学研究科修了。日経ビジネス記者を経て88年、朝日新聞社に入社。東京経済部、大阪経済部で自動車、流通、金融など産業界を取材する一方で、経産省や財務省などを担当し、産業政策、財政についても取材した。東京経済部次長を経て、05年に編集委員。企業の経営問題や産業政策を担当した。2017年4月、朝日新聞社を定年退職し、Gemba Lab株式会社設立、フリージャーナリストとして活動。著書に「2035年『ガソリン車』消滅」(青春出版)、「これからの優良企業」(PHP研究所)など。東洋大学非常勤講師。

スペシャル講演②

「安心・安全なコミュニティの在り方~地域防災・救命・除菌について考える~」

一般社団法人NWHスポーツ救命協会 代表理事/プロレスラー 蝶野 正洋 氏

一般社団法人NWHスポーツ救命協会 代表理事/プロレスラー 蝶野正洋氏

2021年6月東京例会

年末の特番をご存知の方にとって、私がAED大使として、あるいは救命協会を設立し、救命救急に携わっていることは意外に思われるかもしれませんが、実は元々、新日本プロレスという団体に所属し、現役プロレスラーとして全国各地で興行を行なっている時から、社会貢献の一環として慈善活動を行なってきました。また、その土地々々で地域の活性化に少しでも役立てるよう地元の方々と触れ合いながら、ボランティア活動も行なってきました。

また、個人的なことで言えば、私の周りで不慮の事故や思いもよらぬ病気により亡くなっていった橋本真也や三沢光晴という敬愛すべき2人の盟友の死を目の当たりにし、そこで「いのち」に関してさらに深く考えるようになったきっかけでもあります。

これまで団体として行なっていた活動を、引き続き現役引退後もやっていきたいと考えてはいたものの、何を始めてよいか色々と模索していたときに、救命救急について学ぶ機会があり、日本AED財団のAED大使として普及啓発に協力することに致しました。

また、2011年に起きた東日本大震災においても、日本消防協会という歴史ある協会の会長とお会いする機会があり、実は254名の消防団員の方が亡くなっていたと知り、社会を支える裏方としての大事な役割を感じる一方で、なかなか世の中に知られていない消防の啓蒙啓発に、私でお役に立てるならと、今でも様々な消防関連のイベントに参加し、啓蒙啓発の一助となるべく努めております。

一般的に、防災に関して、多くの方は「自助・公助・共助」と聞くと、国が定めたものに従って国民が行動するという「公助」に重きを置いて考えがちですが、近年では、地域社会やコミュニティで支え合う「共助」や個人個人の知識や日頃の備えによって行なわれる「自助」の部分が重要視されるようになっています。それはひとえに2011年に起きた東日本大震災がきっかけですが、改正された災害対策基本法の中にも「自助・共助」の重要性として「地区防災計画制度」が盛り込まれております。

AEDに関しても、かつてはAED機器の取り扱い自体が法律で医療従事者のみに限定されていましたが、機器の進歩によって医療従事者以外でも取り扱えるよう薬事法も改正され、私たちでもいざとなればAEDを使用することができます。ただ、当然のことながら緊急時以外に扱うことのない機器であり、まして普段の生活からそのような緊急時に遭遇することも稀です。しかし、それゆえに日頃から正しい知識や正しい行動を学び知ることの重要性を私は肌で知っています。

私は今でも行政や自治体などの防災や救命救急の啓発活動に協力し、全国各地を回っておりますが、それは一人でも多くの方にその重要性を知っていただきたいと思っているからです。みなさんが正しい知識を持ち、それぞれのコミュニティでお互いに協力しあい、各々正しい行動ができるよう、日頃からの備えがあればこそ、いざという時、一人でも多くの「いのち」が救われるのです。ぜひ、これを機会に、多くの方に救命救急に関心を持っていただき、自助そして共助の意識を高めていただければと思います。

一般社団法人NWHスポーツ救命協会 代表理事/プロレスラー 蝶野正洋氏

◆蝶野 正洋氏 プロフィール

1984年、新日本プロレスでデビュー以来、G1クライマックス、IWGPヘビー級王座、NWA世界ヘビー級王座をはじめ数々のタイトルを獲得。現在はリング以外にも活動の幅を広げ、TV、イベント、講演に出演するなど、多方面で活躍しています。近年は「AED救急救命」「地域防災」の啓発活動に力を入れており、2014年7月に(一社)NWHスポーツ救命協会を設立。(公財)日本消防協会・消防応援団、(公財)日本AED財団・AED大使として、行政をはじめとする消防広報の支援活動を行っています。そうした活動から東京消防庁、警視庁などから感謝状を頂いております。2021年5月には日本除菌連合のアンバサーに就任しています。


開催情報

2021年6月11日(金)15:00~17:30

15:00 開会
15:00~15:05 代表幹事挨拶
15:05~15:50 スペシャル講演①(ジャーナリスト/元 朝日新聞編集委員 安井 孝之 氏)
15:50~16:00 ブレイク
16:00~17:30 スペシャル講演②(一般社団法人NWHスポーツ救命協会 代表理事/プロレスラー 蝶野 正洋 氏)
17:30 閉会

帝国ホテル東京 本館4階・桜の間
東京都千代田区内幸町1-1-1
TEL:03-3504-1111

地図URL:https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/access_map/index.html


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