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賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局

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活動報告

活動レポート 大阪例会
2024年05月16日

写真:京都大学 大学院 工学研究科(都市社会工学) 教授 藤井 聡氏

今回第一部では、ABCテレビ「正義のミカタ」のレギュラーコメンテーターとしてもお馴染み、また最近ではYouTubeでも大活躍中の京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡氏にご登壇いただきました。

第二部では、海外メディアでもインタビューが多数取り上げられ、現在は中国トップ5大学大学院MBAや政策研究大学院大学で独自のハイテク軍師学の戦略マーケティングの講義を行っている豊崎禎久氏に、日本政府が推し進める日本半導体再興プランとグローバルAI半導体戦争のリスクについてたっぷりとお話いただきました。

講演内容

スペシャル講演①

岸田内閣が続く限り、経済は確実に低迷する
京都大学 大学院 工学研究科(都市社会工学) 教授 藤井 聡氏

まず最初に申し上げますと、私は岸田氏本人に私怨があるわけでもありませんし、特定の政党・派閥を貶めたり、逆に寄与するものでもありません。ただ純粋に、日本を救いたい、この一点においてアカデミズムの世界から研究し発信しているにすぎません。

そのことを踏まえ、我が国を見ますと、日本の経済成長の低迷いわゆるデフレが1997年から現在も続いている状況下において、その国の経済力はその国の外交力や軍事力であり、デフレは国家の社会基盤、国力を弱体化させるものであると言えます。このデフレ脱却と日本国の強靭化を推し進めるため、私は安倍政権において内閣官房参与を賜り、ニューディール政策担当を承ったのですが、デフレ脱却の施策・アベノミクス「3本の矢(金融政策・財政政策・成長戦略)」を阻む財務省との戦いも熾烈なものでした。

ところが、現在の岸田政権において、経済を良くする、デフレ脱却を目指すという気概は一切感じません。日本において、私のような積極財政派は異端とされ、財政規律重視、消費税増税派がメディアでも重用されていますが、世界では、コロナ禍の緊急事態、もっと言うとリーマン・ショック以降、積極財政派こそが主流なのです。

実質成長率は、コロナ前の2019年と現在を比較すると、中国・アメリカ・ドイツのいずれもプラスですが、日本だけが-3%となっています。なぜなら、欧米では、自国民の生活を守るため、財政規律政策を凍結し、国債を発行し、国民の所得補填を行い、消費税減税を徹底的に行ったからです。米国においても、コロナ対策(給付金等)や景気浮揚の経済政策としてトランプ政権で約400兆円、バイデン政権でも約400兆円の対策を打っています。

30年低迷が続く日本経済において、消費税増税という悪手を3度にもわたり行ってきたわけですから、そこにさらにコロナの影響を受けたダメージを回復するには世界の常識とも言える積極財政政策を行うしかありません。しかし残念なことに、私の知る限り、岸田総理本人にその意思も責任感も感じませんし、岸田政権におけるこれらの政策を推し進めるブレーンも見当たりません。目先の支持率に一喜一憂し、その場しのぎの「政策」で国民の目をごまかしているようにしか見えないのです。このまま緊縮財政が続けば、日本の名目GDPはおそらく米国や中国の1/10にまで縮小し、経済「小国」になるのではないかと危惧しています。2024年秋には自民党総裁選が行われますが、どなたになったとしても、ぜひ日本国を救う積極財政政策を推し進めてほしいと願っています。

Q&A

Q:自民党内の半導体関連の議連設立にあたり、一企業の名前がついた議連発足が過去にあったのか?財務省や経産省が絡んでいるとは思うがご意見を伺いたい。

A:半導体に関して、バランスの悪い投資が行われていると思う。一部の特定の部位に集中していて、多様性が失われていくのではないかという危惧の声を聞く。特定企業が絡むのはよろしくない。岸田政権にはそのような常識が通用しない。

京都大学 大学院 工学研究科(都市社会工学) 教授 藤井 聡氏

◆藤井 聡 氏 プロフィール
京都大学大学院工学研究科(都市社会工学)教授

京都大学レジリエンス実践ユニット長

1968年奈良県生駒市生。

京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学客員研究員、東京工業大学教授等を経て2009年より現職。2012年から2018年まで安倍内閣内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)。専門は公共政策論。

著書「スーパー新幹線が日本を救う」「新幹線とナショナリズム」「プライマリーバランス亡国論」「国土学」「凡庸という悪魔」「大衆社会の処方箋」等多数。

日本学術振興会賞等受賞多数。

東京MXテレビ「東京ホンマもん教室」、朝日放送「正義のミカタ」、KBS京都「藤井聡のあるがままラジオ」等にて解説。表現者クライテリオン編集長。

スペシャル講演②

日本政府が推し進める日本半導体再興プランとグローバルAI半導体戦争のリスクを検証する~AI半導体の更なる需要を喚起するスマートシティの未来は?~
アーキテクトグランドデザイン株式会社 ファウンダー兼チーフアーキテクト
一般社団法人サイバースマートシティ創造協議会 代表理事 豊崎 禎久氏

いまや半導体最先端技術は中国が米国を凌駕する勢いで、米国政府の制裁もなかなか効かない状況です。2023年のデータによると、中国では、稼働中の半導体FABが44、建設中か検討中が33と言われており、それ以外にも公になっていないFABも含めると100近くあるだろうと見られています。また、新規開発プロジェクトは350以上進められていることが確認されています。中国市場における日本を含めた世界的な半導体製造メーカーも軒並み売上を伸ばしており、企業の売上全体に占める中国市場の割合は4割を超えています。つまり、最終的にビジネスとして消費させる構造がこれらを支えているとも言えるでしょう。

現在、私が参画しているインドネシアでのスマートシティ開発でも、ビッグデータを活用した未来予知社会を前提としたデジタル・サイバースマートシティのグランドデザインを描き、各機能が確定し、それを半導体に落とし込んでいくというロジックで計画が進んでいます。将来的にスマートシティの頭脳は量子コンピュータになり、各端末と宇宙基地局が直接繋がることになります。そうなれば、将来的に地上の基地局は不要になり、そこに依拠している企業や政策は破綻する方向に向かうでしょう。新産業としてのスマートシティのデータサイエンスプラットフォーム市場は約42兆円規模となっており、スマートシティのビッグデータを制する者が世界のデジタルプラットフォームを制すると言っても過言ではありません。

一方、日本が現在、官民一体となって取り組んでいる半導体再興政策は、それを活かすビジネスセンスや新しい技術を統合するノウハウがなく、いまだプロダクトアウト型の戦略を取っています。「ものづくり」政策が利権構造の温床となり、そこで完結してしまってはグローバル競争に打ち勝つことはできません。海外の半導体企業では、マーケット・インやシステム・レベル・インテグレーションやプラットフォーム型によるトータル・システム・ソリューションの思考で企画開発を行う戦略を取っています。

日本においても、真の日の丸半導体再興のためには過去の失敗を分析し、グローバルな視点での冷静な現状分析と認識が不可欠です。そのうえで、世界的な半導体市場における先を見据えた戦略、将来的なグランドデザインを描く台本づくりやストーリーが必要です。また、インテリジェンスの能力やサプライチェーンの構造をどう作っていくのかも非常に重要な課題です。米中半導体戦争の渦中にあり、デジタル赤字が拡大し続ける中において、日本の半導体政策の舵取りは非常に難しいですが、党派を超えた国策として、日本のデジタル戦略を進めていかなければなりません。

一般社団法人サイバースマートシティ創造協議会 代表理事 豊崎 禎久氏

◆豊崎 禎久 氏 プロフィール
欧米半導体企業で半導体戦略マーケッターとして活躍後、戦略マーケティングとして米国SIA対日戦略担当兼務。米ガートナー社プリンシパル・アナリスト、米ハイテク調査会社本社副社長兼日本社長を歴任。

元神奈川県知事松沢成文産業アドバイザー。慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科 元特別招聘教授。

一般社団法人サイバースマートシティ創造協議会代表理事兼スマートシティのアーキテクト。経済産業省の質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施調査を終え、バリ島サヌールのスマートシティを社会実装中。

ニッポン・ハイテク再成長させる会主宰、デジタル松陰塾塾長。

主な著書『日本版シリコンバレー創出に向けて 深圳から学ぶエコシステム型イノベーション』

日経ビジネス、Economist、NHK Wold Japan、Wall Street Jorurnal、Washington Postなど海外メディアでもインタビューが多数取り上げられ、現在は中国トップ5大学大学院MBAや政策研究大学院大学で独自のハイテク軍師学の戦略マーケティングの講義を行っている。

開催日時
5月16日(木)15:00~17:30
タイムテーブル
15:00      開会
15:00~16:10  スペシャル講演①(京都大学 大学院工学研究科 教授 藤井 聡 氏)
16:10~16:20  コーヒーブレイク
16:20~17:30  スペシャル講演②(アーキテクトグランドデザイン株式会社 ファウンダー 豊崎 禎久 氏)
17:30      閉会
場所
リッツカールトン大阪 2F ザ・ガーデンルーム
〒530-0001 大阪市 北区梅田2丁目5番25号Google Map
TEL:06-6343-7000(代表)
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