賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局
受付時間 平日9:30~18:00
今回は、経済とイノベーションの分野で大きな影響を与えてきたお二人にご登壇いただきました。
第一部は、リーダーズ倶楽部のメンバーでもあり、ウルトラファインバブルのシャワーヘッドのTVCMでも有名な株式会社サイエンスホールディングス代表取締役会長の青山恭明氏にご登壇いただきました。
4月に開幕する大阪・関西万博にて大阪ヘルスケアパビリオンに「ミライ人間洗濯機」を展示する狙いや技術革新の未来とその社会的インパクトについて語っていただきました。
第二部は、経済ジャーナリスト・作家でもあり、「シューイチ」、「ZIP!」などの番組コメンテーターとしてもご活躍中の渋谷和弘氏にご登壇いただきました。
洞察力と洗練を兼ね備えた視点で日本経済を分析し続ける渋谷氏が、日本経済の行方を旬なキーワードを交えてわかりやすく解説します。
講演内容
“万博から社会が変わる!”今もそう信じています。『2025年大阪・関西万博』開催が決まった時、私はすぐに参加表明させていただきました。また、多くの関係各位の皆様が開催に向け尽力されている中、ありがたいことに公益社団法人2025年日本国際博覧会大阪パビリオンの理事に就任させていただく運びとなりました。
弊社は水と空気にとことんこだわった事業を行っています。そのきっかけとなった一つに、実は娘の病気が関係しています。3人の娘のうち、次女が急性白血病になり、お医者様に命を救っていただきました。また、三女は重度のアトピーを発症し、学校でいじめを受けました。ステロイド薬を塗布しても、根本的な解決に至りません。私は、とある大学の『塩素吸着とアレルギー』に関する文献を発見し、その因果関係に注目しました。日本では塩素による殺菌された水道水がインフラ整備されていることで、安心安全な水を住宅に供給されています。その一方で、塩素は一瞬にして体に吸着するという特性を持っており、肌のタンパク質を壊すという側面も持っていました。そこで、私は自宅のシャワーヘッドの中に塩素分解剤を入れて改造し、娘には浴槽に浸からずに、シャワーだけで過ごしてもらいました。すると、なんと3ヶ月を待たず、みるみるうちに肌が綺麗になっていったのです。そこから弊社は水に特化した事業を行っています。
私にとって幼き頃の『1970年大阪万博』は衝撃的でした。しかも、当時の近未来的な展示物のいずれもがその後、現実のものとなりました。ただ、私が印象的だったものの中で、実現していないもの、それは『人間洗濯機』でした。約20年前、あるドキュメンタリー番組で工業製品を『微細気泡』を使って洗浄するという技術を見た時、頭に浮かんだのが1970年大阪万博で見た『人間洗濯機』でした。この技術を応用し、全身浸かるだけで洗浄できる風呂ができないだろうかと思い、『ミラバス』の開発に取り組みました。そして7代目の『ミラバス』を経て、この度、2025年大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンにて『ミライ人間洗濯機』を出展する運びとなったのです。これは自動でカラダを洗浄するだけでなく、スクリーンに囲まれた浴槽に浸かった際、背中の脈拍から交感神経と副交感神経の状態を計測し、その度合に合わせた映像や音楽、温度を調整するAI機能によってリラックスできる『カラダもココロも洗う”ミライ人間洗濯機”』なのです。
昨今、万博の収益性について懸念される報道が散見されますが、そもそも万博とは公益性の高いものと考えています。私の家族を救っていただいた方々に対して、ひいては万博を通して社会に対して還元したい、医療従事者の方々にお返しがしたいという積年の想いを実現できるチャンスを頂いたとも言えるかもしれません。その我々の想いを万博から社会実装していくべく、これからも私どもは尽力させていただく所存です。
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Q&A
Q:東京で万博の魅力を伝えるには?
A:万博で見たものが、その20年後30年後に社会に実装されてきた歴史を鑑みると、実際に行き、見て、体感し、五感で感じることが大切なことではないか。そうすることで未来のテクノロジーを直接体感できる。万博で本当の未来を見ることができると多くの方に伝えていただきたい。
Q:万博による社会的なインパクトは大きい。そのことで、大阪ひいては日本がどう変わっていくのか?
A:万博の技術が実社会に導入され、インフラが整備されていくだろう。その社会的意義も重要だが、私は、今のあきらめ世代の若者たちに、万博をきっかけに「日本ってすごい」「大阪もやるじゃないか」と、気概を持てるような機会になってほしいと思っている。
◆青山 恭明 氏 プロフィール
2007年株式会社サイエンスを設立。工業用洗浄に超微細気泡を採用していることに着目し、人の身体もこすらず綺麗にできると考え、2010年にマイクロバブルトルネード入浴装置の販売を開始。2018年に発売したミラブルは、シャワーに新しい付加価値をつけたと話題となり大ヒットに。ミラブルシリーズは発売以来、累計販売本数160万本を超える。この技術は、医療・介護・農業・工業など様々な分野に進出。2025大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンにはミライ人間洗濯機の展示の他、宇宙シャワーなど、サイエンスのミラブルテクノロジーで魅せる未来生活を数点披露。今後はミラブルテクノロジーで暑さ対策など喫緊の社会課題も解決していく。
今年、日本経済には大きなチャンスが生まれるでしょう。
皆さんはこの10年ほどで郊外を中心に喫茶店が増えたなとお感じになりませんか。かつて栄えた日本独自のフルサービス型喫茶店はアメリカから進出してきたおしゃれなセルフサービス型カフェチェーンに押され、店舗数が半減するなど一時期低迷しましたが、実は2013年ごろから成長に転じています。同じころアウトドア業界も復活しました。この10年ほどでキャンピングカーの国内保有台数が倍増し、オートキャンプ場の開設が相次いだのです。
きっかけは1947年~49年に生まれた810万人近い団塊世代の大量引退でした。2012年~14年に65歳なり、退職して時間とお金を手にした彼らはかつて親しんだ喫茶店やキャンプ場に戻ってきたのです。大量引退はその後も続いています。この結果、およそ2200兆円に達する個人金融資産の65%を保有する65歳以上のシニア世代は今や強力な消費リーダーとなり、自ら消費を盛り上げるだけでなく若い世代にも影響を与えています。若者に『昭和』が見直され、レトロブームが起きているのはその現われです。
コロナ禍で旅行や外食などを控えたことによる強制貯蓄は50~70兆円と試算されています。その多くを保有するシニア世代は今年、コロナ禍でできなかったリベンジ消費を本格的に始めるでしょう。低迷していた消費が動き出すチャンスです。
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◆渋谷 和宏 氏 プロフィール
1959年12月、横浜市生まれ。
1984年3月、法政大学経済学部卒業後、同年4月、日経BP社(当時の社名は日経マグロウヒル社)入社。
日経ビジネス副編集長などを経て2002年4月『日経ビジネスアソシエ』を創刊、編集長に。
2006年4月18日号では10万部を突破(ABC公査部数)。
ビジネス局長(日経ビジネス発行人、日経ビジネスオンライン発行人など)、日経BPnet総編集長などを務めた後、2014年3月末、日経BP社を退職、独立。
大正大学表現学部客員教授。
1997年に情報ミステリー小説『銹色(さびいろ)の警鐘』(中央公論新社)で作家デビュー。
経済ノンフィクション「稲盛和夫独占に挑む」(日本経済新聞出版社)などをペンネーム渋沢和樹で執筆。
また、ペンネーム井伏洋介として青春群像小説「月曜の朝、ぼくたちは」(幻冬舎)、「さよならの週末」(幻冬舎)を上梓。
本名(渋谷和宏)としては
『日本の会社員はなぜ「やる気』を失ったのか」(平凡社新書)
『文章は読むだけで上手くなる』(PHPビジネス新書)
『東京ランナーズ』(角川書店)
『「IR」はニッポンを救う! カジノ? それとも超大型リゾート?』(マガジンハウス)
『知っておきたいお金の常識』(角川春樹事務所)
『100年に1度の経済学』(総合法令出版)などを上梓。
現在(2024年)の主な出演番組。
『シューイチ』(コメンテーター、日本テレビ)
『ZIP!』(コメンテーター、日本テレビ)
『森本毅郎・スタンバイ!』(コメンテーター、TBSラジオ)
『林修の今、知りたいでしょ!』(講師、テレビ朝日)
『賢者の選択 Shapers』(ナビゲーター、BS12 トゥエルビ)