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賢者の選択 リーダーズ倶楽部事務局

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活動報告

活動レポート 東京例会
2026年01月22日
「第79回例会 東京」

写真:株式会社マネネCEO/経済アナリスト 森永 康平氏

今回の新春東京例会では、テレビでもご活躍の株式会社マネネCEO/経済アナリストの森永康平氏と、革小物ブランド「CYPRIS(キプリス)」を全国の百貨店を中心に展開する株式会社モルフォ代表取締役社長 小澤 廣幸氏にご登壇いただきました。

第一部の森永康平氏は、「日本経済の現状と展望」をテーマに、日本経済は持続的成長の分岐点にあり、その鍵となるのがインフレの正しい理解と深刻化する人手不足への対応として、物価上昇の背景と適切な評価軸を整理するとともに、企業が生産性向上やデジタル活用、多様な人材の参入促進を通じて人手不足に対処する実践的戦略を提示し、今後の日本経済の展望を考察していただきました。

第二部の小澤廣幸氏は、「革製品のサステナビリティと工房ツアー体験」をテーマに、創業となる1995年から、ものだけでなくサービスも提供したレザーグッズのライフサイクルバリュー(革製品の生涯価値形成)を追求しハイクオリティなMADE IN JAPANの商品を提案し続け、「一生愛せる本質的価値のあるものづくり」の言葉に込められた思いを熱く語っていただきました。またレザーケアマイスター及びシューケアマイスター原田正輝氏によるメンテナンスの実演や、「CYPRIS」各種製品の展示および即売会を開催。ご参加者の皆さまにモルフォ革製品を実際手に取って質の高さを感じていただくなど賑わいを見せました。

講演内容

【スペシャル講演①】

株式会社マネネCEO/経済アナリスト 森永 康平氏

トークテーマ:日本経済の現状と展望

私は仕事柄、年中全国各地で講演をさせていただいています。会場には様々な業種の経営者の皆さんが参加されていますが、皆さん共通して問題意識・課題を持っていらっしゃいます。それは『物価高騰』と『人手不足』です。

『物価高騰』いわゆるインフレーション(略してインフレ)ですが、このインフレには2種類あります。ディマンドプル型インフレとコストプッシュ型インフレです。ディマンドプル型とは、需要が価格を引き上げることで物価が上がることを指します。人々がその製品やサービスを求めることにより、生産量あるいは増産体制が整わず、つまり供給が追いつかず、価値が上昇し、価格に反映されていくようになります。このようなインフレは企業の儲けを増やし、結果的に従業員の給料も上がり、人々の生活が潤い、さらに購買意欲が刺激されるような好循環によるインフレで経済成長が見込まれます。他方、コストプッシュ型インフレとは、何らかの要因(人件費や原材料費・燃料費や円安の影響等)により生産コストが上がり、上がった分を価格転嫁せざるを得なくなるような状況から生まれる物価高を言います。ただ、競争力の弱い中小企業などは価格転嫁が難しく、経費削減を強いられ、結果として従業員の給料は上がらず、購買意欲も削がれ、景気も好転しないという悪循環が生まれてしまいます。

では、今の日本はどちらなのでしょうか?我々がどう考えるかよりも、インフレを抑える責任がある日銀と日本政府の認識が重要です。政府や日銀が何を言ったかではなく、何を行ったかを見ていく必要があります。どちらのインフレかによって執るべき政策が逆になります。日銀は半年に1回のペースで金利を引き上げており、政府は昨年の参院選で与党が減税を否定したことに代表されるように減税には否定的で、一方で増税の議論には前のめりです。つまり、政府や日銀は今のインフレをディマンドプル型インフレと判断しているようです。しかし、その認識は正しいのでしょうか。判断を誤ると良かれと思っている政策が経済に悪影響を及ぼしかねません。

私は現在の景気を判断する時、旅行関連企業のアンケートを参考にすることがあります。『2025年GW家族のお出かけ調査』アンケート結果の1位をご存知でしょうか?1位は『公園』でした。果たして、現在のインフレはディマンドプル型だと言えるでしょうか。インフレ対策として金利を上げれば、お金を借りづらくなり、個人では住宅ローンが組めなくなり、結果、家が売れなくなり、不動産業も建設業も業績は悪化するでしょう。税金も同じです。増税によって飲食店や小売店、サービス業、観光業、宿泊業も厳しい状況に追い込まれ、社会全体が不景気となります。

もう一つの課題『人手不足』ですが、日本の生産年齢人口は1990年代半ばから減少していますが、日本社会全体として捉えると、人手不足が社会問題化したのは2020年頃からだと思います。もちろん、介護や建設業など、業界を絞れば10年以上前から人手不足が叫ばれていたことは把握しています。このままいけば、人口減少の波は収まることなく、人材争奪戦が激化するでしょう。どうすべきでしょうか?

私は3つの政策的議論が必要ではないかと考えます。一つは少子化対策です。ただし、これは難易度が高い。原因は多岐にわたり、複雑に入り組んでいますが、岸田政権下では若者・子育て世代の所得が伸びてこなかったことが大きな原因であると指摘していました。原因は分かっているのに、ベーシックインカム的な補助金や所得手当ではなく、少子化対策の財源として新たに徴収するという真逆の愚策を行おうとしています。2つ目は、移民政策ですが、これは最後の手段だと考えます。世界情勢を見ると、先に移民政策を行った欧州は右傾化し、トランプ政権以降、米国でも移民問題が表面化する中で、昨今の日本も同様に、外国人問題を選挙の政治テーマに掲げる政党が出てきており、そこに支持が集まる現状では、冷静に政策議論を進めるのはかなり難しいでしょう。3つ目は、AIの活用とデジタル化です。これは大企業だけに優位性があるわけではなく、中小零細企業でも取り組めるテーマだと考えます。むしろ、中小零細企業こそ推進すべきでしょう。新卒採用よりもAI技術の導入のほうが確実性がコスパは高いかもしれません。ですので、中小企業の方も個人ベースで検討すべき課題だろうと思います。

最後に、日本経済の現状と今後の展望において、多くの経営者の皆さんが共通して抱いている問題意識、課題解決に向けて少しでもお役に立てれば幸いです。

Q&A

Q:資源エネルギーに関して、再生可能エネルギーの課題についてどうか?

A:現時点では、日本において原発ゼロは非現実的だと思う。再生可能エネルギーの安定性は未だに課題。海外に基盤を持つ経営者が円安を背景に国内に戻ってくるのかというと戻ってこないという。その原因を聞くとエネルギー費の高騰と答える。現実問題として原発の再稼働によって価格を下げ、円安を利用し、海外進出企業の工場国内回帰を促し、国内の供給能力を高めていくことが経済安全保障にも繋がるのではないか。むしろ、日本は原発や火力発電の技術を海外に輸出をするぐらい外貨稼ぎの一つの手段にしてもよいと思う。

Q:人口減少や人手不足の問題が指摘されるなか、ベーシックインカムの導入などのリアリティについてどうお考えか?ヨーロッパやアメリカでは実証実験が行われていて、良い結果が出ているようだ。

A:日本社会でベーシックインカムが奏功するかの議論はあくまで机上の空論でしかなく、参照する論文や引用される論拠も海外の実例ばかりだ。しかも、それらの国は日本と経済規模が違う。実証実験・社会実験をして日本社会がどう機能するのかを見るべき。その意味でコロナ禍に試すチャンスはあった。物価への影響も実験してみないと分からない。AIロボットの進化によって単純労働が置き換わっていくと、人は教養側かフィジカル側に移行するような二分化が起こるのではないか。去年、米国ではChatGPTが人格を持ったというニュースがあったが、人格を持ったフィジカルAIの進化や普及によって、今後、人への危険性や懸念は単なる空想ではなくなる気がしている。

【スペシャル講演②】

株式会社モルフォ 代表取締役社長 小澤 廣幸氏

トークテーマ:革製品のサステナビリティと工房ツアー体験

株式会社モルフォが展開するカンパニーブランド『CYPRIS(キプリス)』は”一生愛せる、本質的価値のあるものづくり”の理念のもと、1995年に創業した一級職人によるメイドインジャパンを誇る革小物製品ブランドです。そもそもキプリスモルフォとは南米に生息する世界中の生命体の中で最も美しいと言われる青く輝く蝶の名前であり、蝶のダイヤモンドと呼ばれております。その『美』の頂点とされるキプリスモルフォ蝶の名をブランドに掲げ、ものづくりの頂点を目指したいという想いが込められております。

昨今の物価高による影響は弊社にとっても避けて通ることはできませんが、幸いにして、多くのお客様からコスパの高い高品質な製品という評価をいただいており、クオリティが価格を上回っているという嬉しいお言葉も数多く頂戴しております。ただし、このままコスト高による価格高が続けば、これまでいただいたコスパの評価を失ってしまうのではないかという懸念も少なからず拭えません。とはいえ、付加価値を創出し、その価値を高め、需要を促すことで価格転嫁を行っていけるようなディマンドプル型の流れを作るべく、企業努力を惜しまず、継続して探求していかなければなりません。

弊社はファクトリーを都内に持ち、ISO9001(品質マネジメントシステム)認証を取得した自社工場で厳しい品質管理のもと、ものづくりを行っております。そして、ものづくりの現場を見ていただき、体感していただく工房見学ツアーも展開しております。ファクトリーでは、一般社団法人日本皮革産業連合会が主催する『革製品技能試験(技術認定試験)』の1級を持つ職人が多数在籍しており、その熟練した技術を間近で体感することで価値を感じていただきたく願っております。それだけではなく、未来に繋がるものづくりとして、若い職人への技術継承も重要なミッションであり、弊社では若い職人(女性のほうが多い)も多く在籍しており、その揺るぎない職人魂の継承の様子も感じていただけるのではないかと思います。

革製品といえば、革のために動物が殺されているのではないかと思われるかもしれませんが、弊社の革製品は食肉の副産物としての革を使用しております。その食肉の副産物である革は年間でスカイツリー6塔分の重さに等しいと言われております。スカイツリー1塔が3万6千トンです。ジャンボジェット機が400万トンですから90機分、その6倍もの革が食肉によって発生する革の重さという計算になります。私たちはその生命を無駄なく循環させていくべく、革製品などのサステナビリティを発信していくプロジェクト『シンキングレザーアクション』にも取り組んでおります。

このように、私たちはただものを売るだけではなく、厳選された最高の素材と機能美の追求、そして一級職人による確固たるモノづくり技術を通して、お客様と一生お付き合いさせていただきたいと考えております。

開催日時
2026年1月21日(水)15:00~17:30
タイムテーブル
15:00       開会
15:00~16:00  スペシャル講演①(株式会社マネネCEO/経済アナリスト 森永 康平氏)
16:00~16:10  休憩
16:10~17:30  スペシャル講演②(株式会社モルフォ 代表取締役社長 小澤 廣幸氏)
17:30       閉会
場所
日本外国特派員協会 5階 Function Room1.2.
東京都千代田区 丸の内 3-2-3 丸の内二重橋ビル5階Google Map
TEL:03-3211-3161
https://www.fccj.or.jp/2015-02-02-04-29-17/2014-10-16-03-04-20.html