リーダーズインタビュー 

三井松島産業株式会社 串間新一郎氏

環境や社会ニーズの変化に対応し、常に社会から必要とされる企業をめざして

リーダーズ倶楽部へ参加されたきっかけは何でしたか?

入会のきっかけは「賢者の選択」に出演させていただいたことでした。本社が福岡ですのでなかなか例会には参加できませんが、先日は大阪で開催された秋のパーティーに参加させていただきました。ジャズトランペッターの日野皓正さんによるスペシャルコンサートは素晴らしかったですね。

現在、三井松島産業株式会社はどのような事業を展開されているのですか?
事業内容、注力事業の変化などお聞かせください。

当社は、1913年(大正2年)に長崎県松島の地において炭鉱会社として創業し、おかげさまで2013年に100周年を迎えました。2001年には国内炭鉱経営からの撤退を余儀なくされ、現在は豪州やインドネシアを中心とした海外に事業の舞台を移し、石炭生産事業及び炭鉱権益の開拓に取り組んでいます。

石炭事業は弊社創業以来のコア事業ですが、価格の変動が激しいため会社の経営も石炭価格に否応なく影響されます。例えば2012年には価格の高騰を背景に史上最高益を達成しましたが、ここ数年はずっと価格が下がり、今期上期は石炭部門が赤字になりました。下期になってようやく価格が回復基調になっていますので、通年では黒字になると予想しています。エネルギーを取り巻く経営環境が大きく変化し且つ不透明感が増す中で、祖業である石炭事業が将来にわたって持続し続ける保証はありませんので、石炭事業に極端に依存する「一本足打法」の経営から脱却すべく、最近では新規事業の育成にも取り組んできました。現在は社内ベンチャーで立ち上げた太陽光発電事業、介護事業のほか、M&Aにも注力し、飲料用資材事業、施設運営受託事業、衣料品事業等も展開しています。

経営者として大切にされていること、お考えをお聞かせください。

事業の選択や経営判断にあたり判断基準にされたことは何ですか?

新規事業にあたっては、普通はコア事業とのシナジー効果を狙って川上や川下に行って事業を選択しがちですが、「全ての卵をひとつの籠に入れるな」との例えがあるように、石炭とシナジーがある事業に全てを集中すると、石炭が不調になると全ての事業が同時に悪くなります。そうした観点から新規事業は敢えて石炭と関連のない事業に取組んでいます。また、石炭事業は極めてボラティリティーの高いビジネスですので、成長性よりも安定性を重要視しています。たとえば最近買収した飲料用ストロー事業やオーダースーツメーカー事業は、今後大きく成長する産業ではないかもしれませんが、いつの時代でも必ず一定のマーケットがあり安定した事業です。大きく成長はしないけれど安定している、ニッチトップな会社を対象としてM&Aを進めてきました。まだ道半ばですが、5~6年かけてM&Aを進めてきた結果、仮に石炭事業が不調の時でも社員にしっかりと給与を支払い、株主に対しても安定した配当を支払えるだけの利益を着実に積み上げてきています。

「社会と人の役に立つ」を経営の基本理念としています。そして常に言ってきたのは、皆様から必要とされる企業になりましょう、皆様から信頼される公明正大な企業になりましょう、あらゆる環境変化に対応し、しなやかに自己変革できる企業になりましょう、真面目に頑張る社員が報われる会社になりましょうということです。

最近は企業ガバナンスが問題になるニュースもありますが、そうした不祥事の多くは経営トップの経営理念や倫理観の欠如が原因ではないかと思います。だからこそ「世の中の役に立たない仕事はやめよう」とか、「儲かるかもしれないけど、これは公明正大な仕事なのか」とか、そうした基本的なものを経営の判断軸としてしっかり持っていることが大事ではないかと思います。

プロフィール

串間新一郎氏インタビュー

代表取締役会長
串間新一郎(くしま しんいちろう)氏

宮崎県宮崎市生まれ。1975年大阪外国語大学(現大阪大学)インドパキスタン語科卒業。1975年、株式会社三井銀行(現三井住友銀行)入社。同行インドネシアさくら銀行副社長、鹿児島支店長等を経て、2005年6月に三井松島産業株式会社入社、2008年10月代表取締役社長に就任。現在は代表取締役会長。趣味は旅行とゴルフ。

三井松島産業株式会社
〒810-8527
福岡市中央区大手門一丁目1番12号大手門パインビル10F・11F
TEL092-771-2171

URL http://www.mitsui-matsushima.co.jp



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